キッパータックの庭で

作者 崇期

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★★★ Excellent!!!

 主人公のキッパータックは、大庭の管理を副業に、本業の清掃の仕事に勤しむ善良な働き者です。大切にしている蜘蛛たちは、人の気持ちを読んで色々なものに変身できる芸達者。物語は彼と、彼を取り巻く個性豊かな庭園主たちを中心に、にぎやかに進んでいきます。登場人物すべてのキャラが立っているからでしょう。彼らにまつわる愉快なエピソードに笑ったり、突然降りかかるとんでもない災難にドキドキしたり。私は読み始めてすぐ、作品世界に入り込むことができました。
 
 それにしても、彼らの宿敵・庭荒らしの大泥棒、タム・ゼブラスソーン! エレベーターのなかにシュールストレミング(殺人的臭いを発する缶詰)を放置する凶悪ぶり! なんてことを! と怒りつつも、彼の活躍(?)をまだまだ追いかけたい、私は悪い読者です~。

 もし、この物語が本になったなら、時々ご褒美みたいに入るイラストは、アニメ風や漫画っぽいのは似合わない。たとえば『不思議の国のアリス』や『あしながおじさん』や『ムーミン』や……。外国文学の原書に描かれているような雰囲気の絵柄がぴったりだと思うのです。
 というのも、なんと言ったらいいのかな。私はこの作品に物語の面白さのほかにもうひとつ━━翻訳ものの文章を思わせる、素敵な味わいを感じました。作者の崇期さんは、地の文には特に力を入れているということですが、見事に成功しているのではないでしょうか。私はその表現にハッと心をつかまれ、思わず読み返してしまうことが、何度かありました。

 大人も読めるけれど、読書の楽しみを知ったばかりの子供たちにも読ませたい。そんなお話の続きが楽しみです。
 
 
 
 
 

★★★ Excellent!!!

もう可笑しくて、……ツボがドツボに嵌るという感じです。
人知を超えた妙味のあふれる作品ですよ。

ネーミングのセンス、妙に共感のできる台詞。まず地の文からしておもしろい、……整った文章なのでするする読めますが、よくよく考え読み直し、笑うことが何度もありました。

この世界観ほんとうに素敵です。ぜひご覧あれ!

Good!

例えば、数学者ルイス・キャロルが親友の娘アリスを楽しませるために書いたお話の様に、何かへ、もしくは不特定な誰かへ特化した様な空気がある。
不思議さの中に柔らかさが秘められ、ゆったりした気分にしてくれる。

出来れば晴れた日に、庭の椅子に座って読みたくなる、そんな作品です。

★★★ Excellent!!!

独特の設定や世界観を持つ作品ですが、拝読していると「これこそがファンタジー小説なのではないか?」と思わずにはいられません。

作者様の文章表現は文学的でありながら、引き込まれるようにすいすいと読ませてくれますし、そのダークにならず、かといってライトすぎずな世界は、とてもバランスよく練り上げられていると思います。

ファンタジーというよりは、「幻想世界」といったほうがピッタリくるかもしれません。

まさに子どもから大人まで楽しめる作品です。

まるで夢の世界に迷い込んだかのような素敵な心地よさ、その入口はここにあります。