1、ふりだしに戻る
季節は秋だったが気温は既に真冬のような寒さで、雪が降ってもおかしくはないくらいだった。
駅までの帰り道で僕は意を決して美沙希に告白をした。
「好きです」の四文字を言うのに、えらく長い時間を要した。僕の気持ちが美沙希に傾いてから、実に一年半以上が経過していた。自信はなかった。断られるだろうと思っていた。でもそれは表面上の気持ちでしかなく、心底では成功したビジョンばかりが浮かんでいた。休みの日は一緒に出かけて、毎日連絡を取り合って、特別な日には彼女に何を贈ろうか悩むのだろう。
僕はこれから楽しくて幸せな毎日を送るのだ。美沙希と共に、二人で。クソみたいなだった今までの人生を投げ捨てて、僕の人生はここからスタートするんだ。
今日この日が、僕にとって最高な人生のふりだしとなる、そうなるはずだ。
美沙希。
僕はずっと、これからもずっと、ずっと。
美沙希。
お前のことが大好きだ。
完
無い賽は振れない 小さい頭巾 @smallhood
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