第54話 おまけ 簡単なその後と人物紹介その2

 続きまして水本関連です。その後はまとめて、キャラクター解説は個別にやっていきます。



その後:公平を剛志の下につけ徹底的に教育し、光輝を社長とした新会社の副社長に抜擢、他にも期待の若手で構成されたその会社は五年で『水本グループ』の一翼を担う存在となる。

 その成長振りに一部の人間から


『光輝様が凄いのだ!誰が副社長でも結果は変わらなかった。このままではあの男は増長し、いつか『水本』を裏切るに違いない!』


 と公平を排除しようとする動きがあったが


『僕が自由にやれるのは、背中を任せるに足る存在があるからだ。僕が知る限りそんな相手は一人しかいない』


 光輝がはっきりと公平の擁護に回り


『あやつが裏切る?馬鹿を言うな。橘公平という男にとって『水本』は『家族』だ。こちらが裏切らぬ限りあやつが『家族』を裏切る事は絶対にありえぬ』


 頼彦もそう断言した。

 部下達も口を揃えて


『副社長が裏切る?……いいか、そんな寝言はあの人と一緒に働いていたら、絶対に口に出来ない。たとえあの人が笑って許しても、俺達が絶対に許さない!』


 そう言って、むしろ本人よりも怒っていた。


 事実その後出世を重ねても、『水本』の不利益になるような行動は一切行われる事はなく、その誠実さこそが何よりも評価された人間だった。

 周囲の信頼に支えられて結果を出し続け、いつしか公平への不満の声は無くなっていった。

 それを見届けた頼彦は、その数年後当主を光輝に譲り引退。

 新たな当主となった光輝は頼彦の人事を引き継ぎつつ、新会社の社長を公平に任せ自分は『水本家当主』としてグループ全体を纏め、上四家と下七家、そして公平達といった『橘派』が手足となりグループを大きくしていった。


 光輝が『坂田家』の娘を妻とし、遥が『卜部家』の次期当主に嫁入りしたりとグループ内でも結束が高まっていったが、『碓井』だけはなかなかその輪に加われなかった。

 しかしそれも公平とほのかの娘である美幸が、優一の長男で『碓井家』の次期当主である十夜に嫁入りした事で改善され、かつての勢いを取り戻した。

 そして『平良グループ』との業務提携により国内の勢力を統一し『水本』『平良』の両グループは世界を相手に『日本の力』を証明してゆくのだった。




 水本 頼彦:キャラクター解説:作中における『水本家当主』といえばこの人の事です。

 実は婿でして『水本』の血を引くのは巴の方。しかも『水本』はおろかその下の上四家や下七家とも全く関わりがない『野良の天才』。

 馴れ初めは二人が同じ大学に通っていた時、身の程知らずにも頼彦が巴に突っかかり、それを面白がった巴に気に入られ『水本』に引っ張られた形。はい、勝てない相手に突っかかっていった時点で頼彦が悪いです。これでも点数は九十一点あるんだけどなあ。

 名前は源頼光からで『頼』は頼彦に、『光』は光輝に。基本的には公平と同タイプで『家族』が大事だが、『水本家当主』として厳しい判断をするのも厭わない。

 他の家の評価は大体は良好。『碓井』は下降ぎみだったのでやや評価が低い。頼彦も手は打っていて、それがなければもっと『碓井』は没落していたのだが、それを冷静に判断できていたのが『碓井』の中で正彦のみというのが悲しい。



 水本 巴:キャラクター解説:ほのかの母親。幸とは別の意味で作中最強キャラ。 

 幸は才能が最強で戦えば必ず勝つタイプだが、巴は頭の回転及びその使い方が抜群に上手く戦う前に勝つタイプ。正面から戦えば幸が勝つが、巴はそもそも勝てない相手に正面からぶつからない。力を発揮させる状況を作らないのが巴のやり方。

 もっともお婆ちゃんは幸の事が大好きだからどうやっても勝てない。というか勝つ気がない。

 剛志以上に人を見る目があり、ほのかとの結婚が認められたのは巴が認めたのが大きかった。

 普段は飄々としてお茶目だが、一番冷酷になれるのも巴。

 良くも悪くも人の上に立つ才能がある人間。

 名前は巴御前からかと思いきやただの響きから。源絡みは後付け設定でしたので。 

 モデルは『修羅の門』のヒロインの母親龍造寺凜子。自分の中で飄々とした母親が強キャラのイメージになったきっかけなので。

 頼彦の方は夫の龍造寺巌です。点数は九十三点。強いですねえ。



 水本 光輝:キャラクター解説:ほのかの弟。『水本の後継者』でそれに見合うだけの才能も持つ超リア充。

 学生時代からモテまくりでしたが、姉と妹のレベルが高すぎて目が肥えたいたせいで精々ガールフレンド止まり。似たような現象は『橘家』でも起こります。

 元々レベルの高い人材は『水本』と『平良』が囲っています。頼彦や橘姉弟のような『野良の天才』なんて滅多に出ない激レアケースだっつーの。普通は八十点レベルを見つけられたら超ラッキーです。

 公平とは義兄弟であり終生の相棒。この二人の内どちらが欠けても水本の繁栄はなかったであろうと言われている。本人にしてみれば自分の足りない部分は補ってくれるし、姉は幸せそうだし幸とも出会えたし、とことん相性が良かったのが公平。更に追加で『橘家』という優秀な家を傘下に収めたのだから文句などあるはずがない。

 点数は九十二点。ちなみに『平良』も似たような存在だが『水本』よりも平均で一~二点下がります。奥さんは静。のびたさんのエッチ!



 卜部(水本) 遥:キャラクター解説:ほのかと光輝の妹。兄と同じく超リア充。 

 小中高とほのかと同じ学校に通い、姉と遜色ない成績を残した超人姉妹。重ねて言いますが『水本』は九十点越えがポンポン出てくる化け物一家です。

 通常九十点越えは十年に一人の天才レベル。プロ野球で言えばドラフトで複数指名を受ける注目選手。それが当然の様に生まれる『水本』は頭がおかしい。

 それとほぼ同レベルの『橘』もいるのでこの両家が揃えばそりゃ繁栄もしますわ。 

 遥自身は九十点。今の『水本』の中ではやや低いがそれでも十分。

 身長は巴寄りでほのかよりも高く胸は普通サイズ。外見はどちらかと言えば巴の妹、剛志の母である藤乃に似て純和風のお嬢様っぽい。

 末っ子なので弟か妹が欲しかったところ幸と出会いときめく。以降は巴と並んで幸に激甘となり、そのせいで翔への当たりが強かった。

 『卜部』に嫁いだのは『坂田』の娘が光輝に嫁いだのでその流れで。政略結婚だが本人も了承済み。『水本』の娘を嫁に貰っておきながら扱いが悪いとかありえない。 

 だからこそ嫁に行った娘はわがままにならないよう常に心がける。自身の行いが『水本』の評価を左右するから。旦那の方は名前さえ考えてませんので悪しからず。




 上四家、下七家関連です。個別は剛志と十夜のみ。



その後:『橘家』が加わった事で『水本グループ』に良い意味で変化が生まれ、全体的に活気付く。

 その中で唯一『碓井』のみがその波に乗れず苦しんでいたが、美幸の嫁入りをきっかけに『碓井』内部の改革を行い、無事『親橘派』となり復権する。


 その間ほかの三家も業績を伸ばし、『碓井』の復権と共に昔以上に各家との連携が取れるようになったが、それはほのかを中心とした女性陣の協力による部分が大きかった。

 そして『平良』との業務提携が発表され、頼彦世代の当主達からその息子、孫達に代替わりしつつ世界と戦っていくのであった。



 渡辺 剛志:キャラクター解説:公平やほのかの元上司。『渡辺家』の三男であり兄と姉が2人づつの五人兄弟の末っ子。

 上四家の中でもかなり優秀な人間だが、兄達もほぼ同レベルなので当主ではない。 

 点数は八十七点。父親より上です。

 『渡辺家』は上四家の中でも特に優秀で、かつての筆頭家老の家柄。

 次いで『碓井』『坂田』『卜部』と続いていたが、『碓井』は落ちぶれ『坂田』と『卜部』は抜きつ抜かれつの間柄。

 相手の才能の有無がかなりはっきりと分かる人間なので重宝される。ちなみに妻である千春は『碓井』の娘で十三の次女。ただし『碓井』らしからぬ豪快な人間だったので正彦を除く『碓井』からは疎まれていた。

 その辺りが剛志とウマが合って結婚。その縁で正彦を可愛がるようになった。

 正彦だけが『碓井』の中で比較的マシだったのはこの二人の影響。

 作中で浮気してるっぽい描写がありましたが、食事までで手は出していません。

 千春が怖いし、娘の秋奈が悲しむような真似はしない主義なので。

 だったら最初から疑われるような真似をするなと言われれば反論できないけど。



 碓井 十夜:キャラクター解説:優一の息子で美幸の夫。優一の後の『碓井家』の次期当主。

 公平とほのかが結婚した直後に、優一も『真田』の分家の娘と結婚。

本来は『碓井家』の当主の妻となるには分不相応なのだが、公平とモメた件でどの家も『碓井』と関わりを持ちたがらなかったのと、あの件で『真田』に負い目が出来たので詫びを含めてこうなった。

 子供の頃はその辺りを『橘が悪い』と教えられたのだが決して外部には言わないように言いつけられていた。

 だが段々と『碓井』が没落して反対に『橘』が大活躍するたびに、『本来父の婚約者であったほのかを奪い、代わりに成り上がった公平が許せない』という思いが溜まってゆき中学三年時に爆発した。

 『橘家』に単身向かった十夜は、玄関先で対応した美幸に公平への不満や罵詈雑言を口にしたのだがそれを聞いた美幸に『……そうですか。『碓井』では父の事をそう教えているのですね。でしたら仕方ありません。真実を知らされず育った貴方は被害者でしょうから。まあもっとも、その年齢で都合の良い情報を鵜呑みにするのはどうかと思いますが』と寒気のするような笑顔を向けられ、家に案内されてほのかを同席させた上で真実を語られた。

 自分が知る情報とは真逆な真実を信じられない十夜だが『信じられないなら他の家でも『水本』にでも確認して下さい。あ、それと無知だったとはいえ、父を侮辱した貴方を許すつもりはありませんから。貴方は私の敵です』とにこやかに宣言されて追い返された。

 その後両親に知られぬように事実を確認して高校一年の時に自分が間違っていた事を悟る。そして雨の中『橘家』の前で呆然と立ち尽くしていたところ、帰ってきた公平が傘も差さず濡れる十夜を見かねて強引に家に連れ込んだ。

 美幸は十夜が『碓井』の人間であり公平を悪く言っていた自分の敵だと話すが、『たとえ美幸の敵だとしても、彼は俺が連れてきたお客様だ。風邪を引かせる訳にはいかないから風呂と着替えを頼む』と言い風呂に入らせる。

 風呂から上がった十夜は事情を話し『勘違いだったとはいえ大変な失礼を致しました』と謝罪するが『いや、謝るのはこちらの方だ。本来これは君の父親と自分で解決すべき問題だ。その子供である君や美幸にまで及んでしまったのは我々大人の責任だ。本当にすまなかった』と自分に対して頭を下げ謝罪する公平を見て、いまだに『橘』を憎み子供に嘘を教え続ける『碓井』と、子供である自分にさえ誠実な態度で頭を下げる『橘』の姿に衝撃を受ける。

 真実を思い知った十夜が号泣しながら土下座して謝罪するが、公平は『君に罪はないよ。だからもし叶うのであれば、『碓井』と『橘』の悪縁を終わらせたい。君やその子供達にこれ以上余計な荷物を背負わせたくないんだ』と言い美幸に『彼はきちんと謝罪したぞ。だから美幸も彼を許してくれ。美幸はそれが出来る子だろう?』と仲直りさせた。

 公平という人間の大きさに感じ入った十夜は、その後公平を『先生』と呼び絶対の信頼を寄せてゆく。

 そして美幸は父の凄さを理解し心酔するようになった十夜といつの間にか交際を始め、遂には結婚する。

その後は美幸で書いたものを参考に。点数は八十九点。優一達他の『碓井』が大体七十から八十点くらいなのでかなり高い。



 下七家:解説:下七家が使用人をやっているのは慣習によるもので、本家の当主達はそれぞれちゃんと会社を運営しています。

 どちらかと言えば金融や建築などの大掛かりなものを上四家が、その他のやや規模の小さいものを下七家以下が行っている。

 『水本』で使用人となるのは下七家の子供達の中で二~三番目に優秀な人間。

一番優秀な人間は跡継ぎになるのだが、『水本』の使用人をするのはかなり名誉な事なので誰でも良い訳ではない。

 女性は結婚などを機に次の人間に引き継ぐが、適当な人間がいない場合や『水本』側からの要望があれば延長される。馬場さんはそういった例。

 男性の場合はよほどの事がない限り、定年までは仕える。

 それぞれの家で幼少の頃から、引退した人間に基本的な事は叩き込まれる。

 その中で次期当主以外で一番向いている人間が選ばれるがそういう人間専用の学校が『水本』にはあり、実質有名な学校と同等の教育が受けられる。

 エピローグで馬場さんが教育係になったのはこの学校の事。



 篠原 結衣&斉藤 佳奈:キャラクター解説:幸の幼馴染ズ。高校までは一緒だったが大学からは別。


 結衣は服飾の専門学校に進学。女子力高めだったので就職もアパレルブランドに。そこで活躍していたら幸から服について質問されて、それに答えてしばらくすると『うちで働いてみない?』とほのかから勧誘される。詳しくはほのかの項目で書いたが『水本グループ』の女性を中心に女性向けの商品開発を行う会社が設立され、その人材を探していたところ幸が結衣の事を伝えた。

 悩んだがチャンスと捉え勧誘に応じる。ちなみに元の会社も『水本グループ』の傘下なので移籍はスムーズ。

 その会社でも活躍しつつ、『水本グループ』の繋ぎ役としてやってきた男性と交際し、後に結婚。妊娠、出産を挟みつつも仕事は辞めずその会社で働き続けた。

 夫は『下七家』の本家の次男。ほのかと幸絡みを任されるのだから有能。


 佳奈は幸や翔とは別の一流大学に進み、その後就職。しばらく働いていたがほのかの勧めた見合いで結婚。退職して家庭に入る。

結婚相手は当然の様に『水本』絡みで『下七家』の本家の三男坊。言い寄る女性も多数だったが、佳奈と話してみてそのさっぱりとした性格が合ったのか半年後には結婚した。『橘家』とは意外にご近所なので幸とはよく会っていた。後に女性向けの会社が設立されたのをきっかけにそちらでも働いた。幸は相談役程度だったが結衣と佳奈は役員にまでなった。



 これにて本当におしまいです。お付き合い下さりありがとうございました。

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幸多き人生を 藤見 正弥 @yaziuman9

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