第53話 おまけ 簡単なその後と人物紹介その1


 先に言っておきますが、『甘々と稲妻』には多大に影響を受けております。


 一応今作には元になった話があるのですが、原型を留めていません。


 大本の話は、高三の成績優秀な兄の主人公が事故で両親を亡くし、血の繋がらない中学一年の妹を育てるといったものでした。

 父方の祖父母が血の繋がりのある兄だけ引き取って、妹は施設に送ろうとした事から妹が事実を知ります。

 主人公はショックを受け飛び出した妹を探し出し


「お前を家族だと思えない人達と一緒には暮らせない。……なあ、俺をお前の『兄』でいさせてくれないか?お前が一人で生きていける様になるまで、『家族』でいさせてくれないか?」


 そう言って妹と二人での生活を始めます。

 バイトを始め、進学を止めて就職して妹を養う兄。

 成績優秀だった兄に引け目を感じていたが、以降家事に勉強にと頑張る妹。


 そして妹が高校二年の時から話が始まる恋愛物でした。

 

 ヒロインが妹、元高校の同級生、仕事場の常連のお姉さん、妹の親友のお嬢様という面々でしたが、キャラクターをキツい目に遭わせるのが苦手な作者ですので複数のヒロインとなると、個別エンドかハーレムエンドしか思いつきません。

 現代物でハーレムはアウトだし、個別エンドを書ききる余裕は無いので


『じゃあ、最初からヒロインを一人に絞ろう。妹も姪にして……』


 となったのが今作です。

 もう今作を書いたので元ネタの作品は書くことは今後無いでしょう。


 半ばリハビリのつもりで書いた今作ですが、自分なりに『面白い』と思ったものを書いたつもりです。

 決して多くは無いのでしょうが、応援や星も頂きましたし、フォローしてくださる方もいらっしゃいました。

 そのお礼と言っては何ですが、キャラクター紹介に加え、それぞれのその後を簡単に説明させて頂きます。


 後述していますがこの世界の人間の能力を大まかに数値化しています。

 参考までに


 ~五十点:一般人。世の人間の多くがここ。

 ~六十点:大会社の係長クラス。『水本グループ』ではどうにか使えるレベル。

 ~六十五点:大会社の課長クラス。『水本グループ』では普通レベル。

 ~七十点:大会社の部長クラス。ここでようやく使える扱い。

 ~七十五点:大会社の役員クラス。このレベルで有能扱い。上四家と下七家の人間は最低でもこのレベルが要求される。

 ~八十点:大会社の社長クラス。上四家と下七家の中では平均レベル。

 ~八十五点:上四家と下七家でも優秀とされるレベル。当主クラスの能力。

 ~八十九点:超優秀。上四家と下七家ではトップクラス。『水本家』での普通。

 ~九十二点。普通の天才。『水本家』での優秀。九十点超えが天才と秀才の壁。

 ~九十五点:本物の天才。『水本家』でも滅多に出ない。

 ~九十八点:大天才。世界に影響を及ぼすレベル。某ゲームでならサーヴァントになれる。

 ~百点:実質神か仏。目にしたら体が勝手にひれ伏す。

 

 点数はあくまでもその人物が届きうる最高値であり、仕事に関する点数です。

 ですので、ほのかや幸は主婦として家庭を重視しているので実際の点数はやや下がります。

 ネタバレを含みますので、本編を読んでからお読みください。



 まずは橘関連から。



橘 公平:幸が中一の頃に、光輝が社長を務める新会社の副社長に大抜擢されて以降海外は光輝が、国内は公平が纏め上げて会社は急成長を遂げる。

 光輝の出した直感的なアイデアを公平が現実的なものに落とし込む方法が当たり、『光輝の右腕』『水本の懐刀』『副将軍』などの異名で世間に呼ばれる。

 特筆すべきは『東の水本、西の平良たいら』と呼ばれる西日本の雄『平良グループ』との業務提携を成し遂げた事だ。

 当時の『平良グループ』会長である平良清隆たいらきよたかとの謁見で


『何故『水本』と手を組まねばならぬ?我等は不倶戴天の敵同士であろう』


 と問われた際に


『いいえ、敵ではあっても互いに切磋琢磨すべき強敵ともです。真に我等が戦うべきは海外の、世界の企業であるはずです。その為に私が来ました』


 そう言って今の日本の状況、『水本』と『平良』の強み弱み、手を組む事の利点を挙げ、粘り強く交渉を重ね遂には説得に成功した。

 業務提携が決まった後、平良清隆は


『熱意だけでも、実利だけでも『平良』を説得する事は出来なかっただろう。それを成しえたのだから本当に大した男だ。だが一つ不満がある。何故『平良』ではなく『水本』に仕えた?それさえなければ文句のつけようもなかったのだがな』


 と語ったという。


 人心掌握、部下の育成にも長け『橘派』と呼ばれる勢力が生まれたが、本人は全く野心など無く『水本』や他の上四家、下七家のサポートを進んで行った。

 そして定年がきたらあっさりと仕事を辞めて、夫婦で『橘家』で余生を過ごした。

 引退の際、多くの人から引き止められたが


『年寄りが居座っては下の者が成長しないだろう。それに悔いなく引退できるのは、安心して後を任せられる者達に恵まれたからだ。その事を誇らせてくれ』


 そう言って部下達に後を託した。

 引退後も相談役として数多くの若者の成長を手助けし、その影響は『水本』だけでなく交流のあった『平良』にまで及んだ。

 幸に世話を焼かれながら平穏な老後を過ごし、亡くなる時には子供や孫に囲まれてその一生を終えた。

 最期まで、何よりも『家族』の幸せを願っていたという。



 キャラクター解説:本編の主人公。モデルは特に無し。強いていえばギャルゲーにおける汎用主人公。

 努力しただけ才能が伸びる典型的主人公体質。点数は九十二点。

 本人が大した事が無いと思ってるのは、綾音、正彦の二人が『本物の天才』なだけで比較対象が間違っているから。

 最終的には正彦並みには成長する『遅咲きの天才』。

 婚約当時はまだ力不足だったが『人の才能を見抜く』のに長けた剛志からの保証付きだったので、ほのかとの結婚が許された。

 まあ、『ほのかが好きになったから』程度で無能や凡人との結婚を許してくれるほど『水本』は甘くない。

 名前の由来はどちらも響きがよかったから。

 『公平』の方は『甘々と稲妻』のお父さんこと『犬塚公平』からかと思われるでしょうが、実は『ぐらんぶる』の『今村耕平』だったりします。

 綾音『碓井家』に嫁入りルートや綾音、正彦生存ルートも考えましたが、多分それではほのかと結ばれる事はないでしょう。このルートだけ特別なんです。



橘(水本みなもと) ほのか:公平と結婚後、妊娠出産を機に仕事を辞め主婦業に専念する。

 文字通りの『良妻賢母』で夫と子供達を大いに支えた。

 『自分の功績の半分はほのかのもの』と公平が言ったのも決して大袈裟じゃない。

 ほのかに関わった人間の殆どが何かしらの良い影響を受けたと答えている。


 公平が仕事で日本中を飛びまわっていた頃、『碓井』を除いた『水本』の主要な家の女性陣と交流してその中心となる。

 後にこの時のメンバーを中心に女性向けの商品開発を行う会社が設立され、新たに『水本』の一角を担うブランドとなる。

 そして各家との交流の際に出会った子供達にとって『絶対に頭の上がらない人』となり、その子供達は後に公平の部下となった者も多かった。


 公平の引退と共に一緒に『橘家』に戻る。

 仲睦まじい夫婦の姿は最期まで変わらなかった。

 公平が亡くなった半年後、追いかけるように息を引き取った。


『……お母さんは、お父さんと一緒が良かったんだものね』


 幸がそう呟いた言葉に、誰もが頷き涙したという。



 キャラクター解説:本編のヒロイン。身長以外は文句のつけようが無い完璧超人。

 モデルはギャルゲーの文系ヒロイン。求められるパラメーターは最難関クラス。

 『水本家』は基本八十後半から九十前半くらいのチート集団。ほのかは『家族』にバフかけまくりのSSR。本人も九十二点だからそりゃズルい。

 名前については迷走したキャラ。元々『和泉いずみ』にしたかったが幸が『いずちゃん』と呼ぶのが語呂が悪く『和泉ほのか』で三十五話まで書いたのだが、使用人の名前を考えるのが面倒で『武田家でいいか』と名づけて戦国大名の設定も生まれたので『源氏』と絡めて『水本みなもと』にしました。

ほのかの方は響きがよかったから。ただし文字にした時「俺はほのかさんに……」等『は』と『ほ』が続くと読みづらかったので反省。




橘 幸:高校は『パパ』『ママ』と同じ進学校に進み、大学は超有名国立大学に進学する。

 大学卒業時に翔が婿入りする形で結婚。立場としては『橘』の分家に当たる。

 同時に『橘家』が幸に正式に譲られ、幸平達は別の場所に『橘本邸』を建て引っ越すが、公平や幸にとっては『橘家』こそが実家であり家に入る時は『ただいま』と言うのが『家族』での決まり事であった。


 二年ほど会社に勤めたが妊娠、出産で双子の公彦、綾香を授かり専業主婦となる。

 当時社長であった渡辺剛志からは強く引きとめられたが


『すみません。私にとっては『仕事』よりも『家族』が大事なので』


 と、あっさりと断わられ後に


『……幸を全力で育ててみたかった。それだけが俺の心残りだった』


 そう数多くの人材を育て上げた剛志に言わしめるほどだった。


 その後次男の輝彦てるひこ、次女の友花ともかを産みながらほのかを中心とした女性グループで新会社の中心となるも、子育て重視で半ば相談役だった。

 それでも周囲が文句を言えないくらい成果を挙げていたのだから、幸が本気で仕事に没頭していたらどうなっただろうかとは常々噂されていた。


 当の本人は仕事よりも子育てと夫の世話が楽しいらしく


『仕事はこのくらいでお腹一杯。それよりも『家族』を大事にしたい』


 と生涯ブレる事はなかった。


 公平とほのかが『橘家』に帰ってきた時誰よりも喜び、その世話をする時は子供の様に笑っていたという。




 キャラクター解説:本編のもう一人の主人公にして、ヒロイン兼マスコット。本作における最強であり『歴史に名を残すレベルの大天才』で点数で言えば九十七点。

 ちなみに二位は綾音、三位は正彦という、生まれるべくして生まれた最強である。

 能力もそうだがとにかく『人に愛される才能』に長け、登場人物の殆どが幸に好意的な感情を持つ。

 例外は『碓井』くらい。綾音を受け入れた世界線では最強親子で無双し『碓井家』の歴史の中で絶頂を迎えたのにね。

 ちなみに翔と結婚した理由は気心が知れていたのと『どことなく雰囲気が『お父さん』に似てたから』というお父さん大好きっ子なので美幸、十夜とはとても仲が良い。同じレベルでお母さん大好きっ子でもあるので幸彦、月乃とも仲が良い。

 『ママ』や『お母さん』のような『母親』という存在に強い憧れを持ったのでこのようになったが、仕事に集中させていたら確実に天下が取れていた。

モデルは『甘々と稲妻』の娘である『犬塚つむぎ』と、元ネタの妹。

 幸という名前はタイトルと絡ませる為。外見は綾音によく似て凄い美人。胸の大きさも綾音に似たのが泣き所。



橘 幸彦:公平とほのかの長男にして『橘本家たちばなほんけ』の跡取り。両親の才能を受け継ぎ、『橘派』の後継者として公平の仕事の大半を引き継ぐ。

 部下達からも、後継者として受け入れられるくらいには仕事の出来る優秀な二代目として認識されている。


 妻は幸彦より二歳年上の『渡辺家』の当主の娘である月乃。幼馴染でもある。

 一男一女を授かり、父母の影響もあり『家族』をとても大切に思っている。

 公平達の老後の面倒を見るつもりだったが、両親と姉の要望により『橘家』で余生を過ごす事を了承する。

 



 キャラクター解説:本編の最後頃に登場した長男。公平とほのかの子供なんだから優秀でないはずがない。点数は九十点くらい。

 基本マザコンでありシスコン。でも妻も重度のほのか信者なのでセーフ。公平の事は尊敬もしてるし、家族としては普通に好き。

 公平が大活躍しまくったので地味に思われているが、拡大した『橘派』を無難に纏め上げただけでも十分凄い。

 幸の年齢が離れておらず、従姉のままだったら結婚してもおかしくなかったくらいには義姉の事が好き。モデルなし。



橘 美幸:公平とほのかの長女。外見、性格共にほのかの影響を色濃く受け継ぐ。

 幼少の頃からモテていたが


『理想の男性は『お父さん』』


 と公言するくらいだったので恋人はいなかった。


 中学時代に家に押しかけて公平に文句を言ってきた『碓井十夜』を完膚なきまでに叩き潰して『敵』認定する。

 その後高校時代に『橘』と『碓井』の真実を知り、土下座して公平に謝った十夜と和解した。

 完全な公平信者と化した十夜と意気投合し、交際が開始するも『碓井』から大反対される。


 しかし『碓井』の後継者にして最高の才能の持ち主である十夜に出て行かれたら、今度こそ『碓井家』は終わるので渋々交際を認め、後に嫁入りした。

 そこで十夜と共に『碓井』の改革に着手した。

 結果を出し続ける二人に文句も言えず、他の『水本』関連の家の支援もあり徐々に『碓井』の若者にも支持され、他の上四家と遜色ないほどの復活を遂げた。

 十夜との間に二男一女を授かり、『橘』を含む他家との交流も頻繁に行われ最終的に『碓井』は『渡辺』と並ぶ『親橘派』となる。



 キャラクター解説:幸彦と同じで本編の最後頃の登場となった娘。公平とほのかの子供が優秀で以下略。点数は兄と同じ九十点。

 重度のファザコンでありブラコン。兄は『大好きなお兄ちゃん』くらいだが、父は『本気で結婚したい』くらいには好きという困ったちゃん。

 十夜と出会わなければ、婚期が大いに遅れたと思われる。母と義姉は同じ女性として尊敬もしているし『家族』としては大好き。モデルなし。




幸の子供達:キャラクター解説:公彦、綾香は男女の双子。名前は幸の両親達から一文字づつ貰ってつけた。(ほのかのみ当て字で香の文字)輝彦、友花は『水本家』の四人から。『橘』も『水本』に負けず劣らずのチート集団なので、天才レベルがよく生まれます。孫の世代までストーリーは考えていませんが活躍はするでしょう。




橘 綾音:キャラクター解説:公平の姉にして幸の実母。作品中第二位の強キャラ。

点数は九十五点。

 ほのかと並ぶ完璧超人で、唯一胸の大きさだけが悩みどころ。普通にスレンダーなモデル体型の美人なんですけどね。綾音と正彦が亡くなったのはマジで日本の損失。 

 学生時代はバイトしながら公平を育てていたが、多分株やFXなどに手を出しても九十五%くらいの確率で成功していた。やらなかったのは万が一の時に公平まで巻き込んでしまうから。『家族を大事に』はずっと変わらぬ『橘』の家訓。

 高校卒業後に就職するも、年功序列と周囲の嫉妬に阻まれ出世出来なかったが正彦が大学時代に立ち上げたベンチャー企業にヘッドハンティングされる。

 示した報酬は破格だったが、これでも『もの凄くお買い得』なのだと気付いていたのは綾音の才能を知る正彦のみ。

 入社後実力を認められつつ、周囲からは正彦とつかずはなれずの距離でやきもきされてていたが公平の説得もあり無事交際、結婚する。

 綾音と幸は大して努力しなくても才能が花開き努力で更に開くガチ天才タイプ。

 ほのか、正彦は努力すれば花開く普通タイプ。

 公平は必死の努力が必要な晩成タイプです。一応モデルは元ネタの主人公。




橘(碓井) 正彦:キャラクター解説:幸の実父。公平の義兄。作品中第三位で点数は九十四点。この親子本当にエグいな。

 幼少の頃から『神童』扱いで、本当にそれに見合うだけの才能もあった。『碓井家』は長男が跡取りになる決まりだったが、正彦を跡取りにという声もあった。

 そのくらい正彦の才能は飛び抜けており、優一以外はそれもありだと考えていた。 

 性格は幼少期は自信満々で周囲を引っ張るリーダータイプだったが、徐々に『碓井家』に毒されて偉そうな態度を取るようになっていった。

 それでも剛志や『水本』など尊敬に値する人間への敬意は残っていた。

 そして高校に進学して綾音と出会い、初めて同世代で『自分より凄い人間』を目にする。

 成績の面で正彦が綾香に勝てたのは、綾音の両親が事故で亡くなってから。

 それまでは綾音は全教科満点を叩き出していて、成績が落ちたといっても満点が取れなかったというだけの話。

 ここで天狗の鼻を折られた正彦は驕らず努力するようになった。公平の正彦のイメージはこれ以降の姿。

 自分にとって初めての対等以上の相手であり、当時から評判の美人だった綾音を強く意識し自分が心奪われている事に気付く。後は本編の通りで交際、結婚を果たす。 

 高三の頃にほのかとの婚約を断わっている。会社を立ち上げたのも多分『碓井』は綾音を認めないと思っていたから。

 公平が成長したのは間違いなく正彦に勉強を見てもらったから。綾音は感覚で勉強が出来るので、理論立てて教えるのは正彦の方が上の為。

 ちなみに実母と同タイプの幸はその部分をほのかに矯正されています。モデルは特になし。




橘(結城) 翔:キャラクター解説:幸の元幼馴染で夫。『水本』と幸彦、美幸辺りからかなり恨まれた不憫な男。まあ、幸と結婚するというのはそういう事なので仕方ない。

 登場人物の中では凡人に近く、幸が『水本』だったら結婚は許されなかった。

 点数は七十五点。低いと思ってはいけない。『水本』と『橘』が化け物なんです。 

 子供の頃から幸が好きで、佳奈と結衣にはバレバレ。当然幸は気付いていない。

 運動が得意で勉強は苦手なタイプだったが、中一の頃に一念発起して幸達と一緒に勉強を死ぬほど頑張った。先生はほのか。そのせいで現在でも頭が上がらない。

 本作中公平と並んで最も努力し続けた人間。公平との違いは残酷なまでの才能の差。それでも必死に努力し続けた背中が『お父さん』に似ていた、というのが幸が心を捕まれた原因なのだから人生は面白い。

 ちなみに公平とほのかは『家族を食べさせていけるだけの経済力があり、幸が好きになった相手なら基本OK』という緩い基準。

 『水本』であれば最低九十点から。幸と結婚したければまず『世界』で活躍して来い。話はそれからだ、というスタンスなので運が良かったね、翔くん。




橘(渡辺) 月乃:キャラクター解説:幸彦の恋人、後の妻。『渡辺家』の現当主の娘。

 ちなみに剛志は前当主である真玄の息子だが当主ではない。現当主は剛志の兄が務め、剛志は分家の家長の一人。才能があるのと弟なので色々使われやすい。

 月乃はかなり遅くに生まれた子供で、幸彦より二歳年上。幼少の頃にほのかと出会い、それ以降憧れの存在になっている。

 幸彦とは幼馴染の関係で、月乃にとっては可愛い弟のようであり、憧れの女性の子供で羨ましかったりと複雑な感情を持っていた。

 幸彦の方はよく遊んだ仲の良いお姉ちゃんだったが、結婚の話が出た時には顔が思い浮かぶくらいには意識していた。

 丁度幸が結婚した頃でもあり、分かっていた失恋とはいえ落ち込んでいたところを慰められたせいかも知れない。

 そして幸彦の方から候補として月乃の名前が出て、両家の思惑もあって婚約が決まった。ぶっちゃけ政略結婚ではあるが、本人達もまんざらではなかった。

 『渡辺』と『橘』は両家の結びつきを強くしたかったし、月乃にしてもほのかの義娘となれるし幸彦以上の好条件はなかった。

 幸彦も気心が知れている月乃という事で文句もなく決まった。

 活発ではっきりとものを言うタイプで幸には似ても似つかぬ月乃だったが、幸彦との相性はよく幸せな夫婦生活を送った。

 唯一の心残りは公平とほのかの老後の世話を幸に取られた事だが、幸の境遇も知っていたし本人達の望みだったので諦めた。

 点数は八十四点。兄弟達の中では一番優秀だった。




 思ったより長くなったので残りは明日に回します。

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