槍を片手に貫くは、己の意志一つ。竜に跨った蛇人のアウトサイダー英雄譚

蛇の頭を持つ亜人の賞金稼ぎ・ザハークが、神秘の空中都市に蔓延る陰謀に巻き込まれていく、ファンタジー活劇です。
腐敗した王政、傀儡のような兵士たち、荒れ果てた下々の村——ダークな世界観の中で、竜に乗って空を駆ける爽快感が映える!

謎の秘宝『闇の炎』をめぐる黒い噂に、神話を引き継ぐ闇の巫女、そして何やらキナ臭い王室事情。
特等の賞金稼ぎは、この国に巣食う闇を打ち払うことができるのでしょうか?

人の持つ『意思の力』というのが、本作の大きなテーマであるように思います。
浮遊島という鎖された社会で、考えることを放棄した人々。
何にも縛られることなく己の生き様を貫くザハークの姿が、それとは対照的に描かれています。

飄々としたザハークが強くてカッコいいです。
彼と行動を共にする闇の踊り子・サリハも素直な可愛らしさがあり、異種間恋愛が好きな方には堪らないツーショットでしょう。

複雑に練られた伏線に事実が紐解かれ、国まるごと揺るがすクライマックスシーンへと繋がっていく展開に胸が熱くなりました。
そして、前向きな『意思』で溢れる素晴らしいラスト。
一匹狼(蛇だけど)だったザハークの、明るく賑やかな未来が想像できます。
とても清々しい読後感でした。毎日の連載を、楽しく追わせていただきました!