第3話 秋風の砂糖漬け

スマートフォン セロテープみたいに 縫い付けて リュックサックの 薄皮一枚


濡れた棒 車内に幾つも あるだけで こんなに憂鬱 なるんだね、雨


スプーン掬って きちんと咀嚼し 嚥下して お願いどうか 吐き出さないで


イヤホンの ノックで二度と 眠れない 切る通知先送り 解決は遠く


大丈夫 靴紐なんて 取れていいわ きっとまた私 結んであげるわ


小さすぎる お菓子の袋を 破こうと 躍起になって つきり鳴く深爪


イヤホンの 端子と彼氏 壊れかけ はてさてどっちが 駄目になるのか


さぁ急げ シフォンケーキを 鷲掴み クリームになった 小指を食べよう


僕多分 今年いっぱい 夢にいます お願いだから 探さないで下さい


大丈夫 これは中毒 分かってる 硝子に鴉が 惹かれるのと同じ


夏の破片 ジャム瓶に入れて 腐らせた 気高く鋭い 冬に塗って


ごぼごぽと 咳をしながら ベッドへ戻る 私の悲哀を救う 私は何処へ


眠たげな 瞼にどうも ありがとう 嫉妬したって 言ってくれんだ


DMの チャットの二次会 深夜四時 バレないうちに 早く眠って


青い顔 荒れた唇 重い瞼 どうか全部 赦してマイディア


ごめんなさい 貴方の側に 居たくない 私が穢いのが バレてしまいます


基準なんざ 知らないって言ったら 眠ったね そりゃそうだけど 今は会いたい

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貝殻のジャム瓶 たかっちゃん @naoto0423

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