第6話:責任
「マリアンヌ嬢、あれが迷惑をかけたな、この通り詫びる」
あれ、あれ、大陸で大王と呼ばれるほど尊敬され恐れられているバルザック国王陛下が、没落貴族の私に頭を下げるなんて、絶対に何か腹にありますね。
ここは気合を入れて交渉しなければいけませんね。
「いえ、こちらこそお騒がせして申し訳ありません」
「いや、いや、馬鹿を排除してくれた事、助かった。
あれでも余のただ一人の子供だからな、処刑するとなると反対する者も多いく出る、何か言い訳のできない失態を犯してくれないかと待っていたのだ」
本当に恐ろしい方ですね、ただ一人自分の血を引き継いだ息子すら、王に相応しくないとなれば、教え導くのではなく切り捨てる。
これは、返答に気を付けなければ、私も妹と一緒に切り捨てられますね。
「微力ながら陛下の力になれたのなら身に余る光栄でございます」
「うむ、だが、同時に大罪を犯した者の姉であることからは逃れられない。
ライエン公爵とその係累は処刑し、公爵家は奪爵となる」
やれやれ、本当に強かな国王陛下です。
王太子だったブル―ノの処刑に反対する者がでてくるのは当然です。
身近にいた者は、一緒に罰を受けないように、罰を受けるにしても軽くなるように、あわよくば復権させて立身出世できるように。
ここでリナビアナやライエン公爵に温情をかければ、それと比較してブル―ノの減刑を言い立てる事でしょう。
これは、母から受け継いだ領地は諦めて、助命だけでも勝ち取る事にしましょう。
「はい、当然の事と納得しています」
「ただ、今回の件を暴露し、王国の暗雲を打ち払ってくれたのはそなたじゃ。
王家王国の恩人に罰を与えるのは恩知らずというモノであろう。
よって信賞必罰に従い、褒美と課題を与える」
なにか、途轍もなく悪い予感がします。
私はただ読書三昧の日々を送りたかっただけけなのに!
「ブルーノは処刑するから、余には子供がいなくなる。
王の後継者が不在では、貴族士族も国民も不安であろう。
幸いライエン公爵家には王家の血が流れている、正式な処罰前にマリアンヌを養女に迎え王女とする、これが褒美じゃ」
ああ、会場中の王侯貴族の視線が痛い。
視線だけで殺されそうです。
「だが、マリアンヌに王家王国を引き継ぐだけの能力があるかは未知数だ。
それを証明してもらわなければならん。
母親から引き継いだ領地をあそこまで発展させた手腕を、ブルーノから引き継ぐ領地と未開地で発揮してもらいたい。
税収を三倍にしてくれれば、王太女に立てよう」
ああ、ああ、ああ、これで平穏な日々とはお別れですね。
王位を狙う王侯貴族の妨害と刺客に悩まされることになります。
ですが、未開地をもらえるのなら、この国を富ませる事など簡単です。
やってやろうではありませんか!
婚約破棄追放の転生聖女は晴耕雨読したかった。 克全 @dokatu
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