第2話 バイト

「おはようございまーす」

杏奈が階段を降りてたどり着いた店はほんの少し暗く、男女の小さな声がBGMのように聞こえるようだった。


「まるちゃん、今日もよろしく!」

店長は杏奈の肩を執拗に揉んで去っていった。昔のOLみたいなコスチュームを着たら杏奈は「まるちゃん」になる。


「まるちゃん、早速ご指名だよ」

いつも無表情の黒服が伝えると、まるはいつもの笑顔でソファに行ってひざまづく。

「今日も来てくれたの!うれしい。今ビールお注ぎしますね」

まるが手慣れた調子でビールを注ごうとすると、会社員風の男は早速まるのコスチュームを脱がせようとする。

「あら、気が早いこと」

「ビールよりまるちゃんの方がおいしいからな」

「何だそれ」

ビールの小瓶を安全な場所に置きながら、まるは男にキスをし始めた。

「キス、おいしい?」

「ああ、うまい」

「もっとおいしいことしようね」

 まるはソファーの背の方を向いて男にまたがった。

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杏奈の日記 @annamaria

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