杏奈の日記
@annamaria
第1話 居候
私はいい母親になれるだろうか?
これは深刻な、自分への問いだ。
今大学1年の現在杏奈に母親になる予定はない。でも、この問いはいつからだかわからない位、遥か前から杏奈の中にこびりついて杏奈を苦しめる。
あ、おばあちゃんに今日遅くなるって言わなくちゃいけないんだった。公衆電話はこの当時どこにでも当たり前にある存在で、携帯電話はまだまだみんなの手には渡っていなかった。
「もしもし、おばあちゃん?今日バイトだから夕飯外で食べてくるね。10時までに…わかった、わかった、帰ります」
心配性の祖母と几帳面な祖父と暮らし始めたのは、高校入学の時だから今年で4年だ。父と育ての母は大学の入学時には海外の留学先から帰ってきたが、杏奈は一緒に住むという選択肢を尋ねられたことはない。
本音を言えばどこだって杏奈にしてみたら変わりばえはしない。
どこでも私は居候。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます