第2話 彼女に色気が足りないだって!そんな訳ない!
大学でも彼女は美人で有名だった。
それは誇らしいことであった。
けど、同じ大学に通うポニーテールの店員さんにセクシー女優について聞かれてしまった。
当然店員さんも、セクシー女優の件について聞きたいはずだ。
静寂に包まれた空気のなか話題を変えようと僕から口火を切った。
「そ、そ、そ、そ、そういえば店員さんの名前教えて欲しいなー…。彼女と同じ大学なら気になるなーなんて。僕はユースケ。大学1年」
(緊張でうまいしゃべれない。ぎこちなさすぎだろ。俺…)
「彼女が美しい月と書いてみつきで彼女も大学1年。店員さんは?」
美月は軽く会釈をする。
「私は琳加 りんか。大学1年。たまに凛としてる花の凛花と間違えられるけどこっちね」
ネームプレートを見せる。そこには琳加と書かれていた。
「じゃ、じゃあ私はバイト中だからごゆっくりー」
「待って!琳加ちゃん!」
(ええー何で止めるのー!琳加ちゃんはバイト中だから二人で話そうよー!)
「ど、どうしたの?ていうかその話。私も聞いていいの?」
「そ、そ、そ、そうだよー。二人で落ち着いて話そうよー」
彼女は落ち着こうと深呼吸をした。
俺も深呼吸をしたらフーッと声が聞こえた。
琳加ちゃんをみたら深呼吸をしていた。
目があった。アイコンタクトで初対面なのに意気投合した。
(退路はたたれた。いざゆこう。決戦のちへ。
ホラ貝を鳴らせー!出陣じゃあ!)
「ユースケ君。琳加ちゃん。私、女優目指してずっと演技の勉強してたの。琳加ちゃん。私大学でも演劇してるけど観たことある?」
「えっと。観たことはないけどポスターなら…。すみません。観たことないです」
「で、でもすごくいい表情してましたよ!」
「そんなことないよ。私大学でも演劇頑張ってた。けど、ある時先輩に大人の女性になったのに色気が足りないって言われてすごくショックだった。
そのあと偶然テレビでセクシー女優って言葉を知って艶っぽくて素敵な人だなって。
女優って色んな役があるからセクシー専門の女優さんかな?参考にしたいなって考えてたけどあれからテレビで見かけなくなって。
どうやったらセクシー女優になれるかな?」
真っ直ぐに話してくれた彼女。
再び琳加ちゃんと目があった。お互いに考えてることが直ぐに一致した。
彼女、勘違いしてる………。
「ユースケ君。セクシー女優って知ってる?」
真っ直ぐな瞳で観てくる彼女。
「お、おれ、あっーと知ってる、知ってるよ⁉️あいやー知らないかな?知らないかも?」
「琳加ちゃんは知ってる?」
真っ直ぐな視線で琳加を観る彼女。
「わ、私はー、私よりユースケ君の方が詳しいんじゃないかな」
さっと琳加がこっちをみたがさっと視線を反らす。
痛いほどに伝わる視線。
琳加ちゃん怒ってる…。
表情は笑ってるが目が笑っていない。明らかに怒ってる。そして耳打ちをされた。
「このヘタレ野郎」
(すみませんー!)
ニコッと笑うが目が笑っていない琳加。
「美月、覚悟は出来てる?セクシー女優って言うのはね」
美月に耳打ちで何かを話しているがまったく聞こえない。
すると彼女の顔が夕焼けのようにみるみる赤くなっていく。顔からボシューと煙が上がってくように見えた。
「てわけだよ。わかった?
ねえ、返事してよ。聞いてるの?
…………。はぁーー。純白のおパンツ」
美月の顔から最大量に煙が上がってく!
小さくうなずく美月。
「それじゃあね。私バイト中だから!
あー、あとあと、そうそうユースケあんたにもうひとつ」
「こんのおヘタレ野郎があー!」
(思いっきり言われたー!そして初対面なのにドロップキックされたー!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます