最終話 激動の時代を生き抜き神様になった! 明治天皇~後編~

【明治天皇の業績】

 先程お話した王政復古の大号令を後押ししたのは、明治天皇なのです。

 

 さて激動の時代に生まれた明治天皇ですが、ペリーが黒船で来航した時にはまだ1歳という幼さでした。そして14歳で皇位につきます。

 このように、動乱の時代に若くして天皇となったのですね。


 明治元年3月14日『五箇条の誓文』を公布して、新政府の基本方針を示しました。

 そして、次の時には首都を京都から江戸に移しました。こうして『東京』という街が出来たのです。

 計算するとこの時の明治天皇は17歳なので、高校生くらいの男の子がこのような改革を行ったのは驚きですね。


 また、断髪令が出されます。これは『チョンマゲは禁止するけど、ヘアースタイルは自由にしていいよ』という法令です。


 この法令が出ると明治天皇は真っ先にチョンマゲをやめ、西洋風の髪型にしました。そのため国民の多くが明治天皇に習い、チョンマゲを切ったと言われています。

 また積極的にお肉を食べたり、洋服を着たりしました。このように明治天皇が西洋の文化を自身の生活に取り入れたので、庶民の洋風化が急速に進みました。


 このように日本を新しい国へ改革する象徴として、明治天皇は君臨していたのです。


 そんな時代の中、国を近代化に導く為に明治政府はどうしても、行いたい事がありました。

 

 それは『廃藩置県はいはんちけん』です。学校の授業でも習いますが、「藩が県に変わっただけでしょ。はいはーん」という感じで終わると思います。

 

 しかし、これはとんでもない大改革だったのです。


 藩というのは大名に与えられた領地の事で、政治や行政というのは各藩が独自に行っていた、自治国だったのです。

 

 小さい国が日本中に点在している状態だと思ってください。


 そして政治や行政を各藩に自治的に任せているという事は、極端な事を言うと『A藩で万引きしたら捕まるけど、B藩なら万引きしても捕まらない』という事になってしまいます。


 これは国家としてはとても弱く、鎖国している時代ならよかったかもしれません。

 しかし明治時代は欧米列強国の圧力がとても強かった時代で、いつ植民地化されてもおかしくない状態でした。


 その圧力に対抗するには、藩を廃止して、天皇を中心とした中央集権体制を作るのが重要だったのです。

 

 天皇を中心とした中央集権体制というのは「皆好き勝手やるんじゃなくて、天皇を中心とした一つの大きな国にまとまろうろうよ!」という意味です。

 

 まず手始めに各藩主の、土地と人を天皇に返上させる『版籍奉還はんせきほうかん』を行いました。そして廃藩置県を行いようやく、旧来の幕府体制は解体され、全国は政府が直接統治する近代国家となったのです。



【国民から愛された天皇】

 明治天皇は激動の時代に生まれ、日本を近代国家に人物というのがわかってくれたと思います。

 その人柄は愛民精神に溢れ、「国を統治するには、まず国民の事を思うのが重要だ」という言葉を残しています。

 

 その一方で自身の健康には無頓着で、毎日かなりの量のお酒を飲んでいたとか、その中でもワインが特に好物だったそうです。その上、医者嫌いだったので、早くに体を悪くしてしまいました。


 明治45年に明治天皇が崩御するのですが、その前から即位50年を記念して記念行事の計画が進んでいました。

 構想は色々出ていたのですが、特に決まっておらず、最初は美術館や記念館などを作る計画だったそうです。

 しかし、「明治天皇を祭る神社をつくってほしい」という声が国民からあがり、大正元年には神宮創設の案が発表され、本格的に明治神宮創建に向けて動き出しました。


 そして大正9年に明治天皇を主祭神とした明治神宮が完成したのです。


 時は流れて昭和に発生した第二次世界対戦で、明治神宮は全焼してしまいました。しかし、神宮再建の募金が集まり、昭和33年に明治神宮は復活を果たします。


 明治神宮が愛されている神社というのがわかるエピソードですね。


 さて、明治神宮には『大御心おおみごころ』という、独自のおみくじがあります。

「おみくじと大御心って、何が違うの?」と思いますが、大御心は通常のおみくじのように運勢の良い悪いを占うものではありません。

 

 つまり、大吉もなければ凶もないという事です。


「じゃあ、何が書いてるの?」という疑問を持つを思いますが、大御心には明治天皇と皇后である昭憲皇太后しょうけんこうたいごうが生前に読んだ和歌が書いてあります。

 

 大御心には人生に好影響をもらたすような、人生訓が書かれておりいます。大御心を引くと、祭られている明治天皇が今の貴方に必要な教訓や言葉を選んでくれると言われています。

 

 なので明治神宮ではおみくじを結ぶ場所はなく、大御心は持ち帰るものであり、何度も読み返して日頃の生活で心がけるというものになっています。

 ちなみに明治天皇の和歌は白、昭憲皇太后の和歌は黄色で表されています。


 明治神宮に参拝した際には是非引いてみてください。

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楽しくて、わかりやすい! 日本の神様のお話 東樹 @itukiazuma33

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