第に話:復帰といつもどおり
つい二ヶ月前ほど、体調も気持ちもぐちゃぐちゃになった。
休みをもらい、この間復帰して、
なんだかんだ、完全ではないけれど
元の仕事に戻れて。
昨日も、今日も、同じようで違う、同じ日々が始まるのだ。
うさぎも飼い始めてから、もうすぐ三年になる。
来年は卯年なので、うさぎ好きな私はきっとめちゃくちゃいい年になるかもとか思いながら、
こうして小さい画面をタップして打ち込む。
駅によっては、人がいっぱい乗ったり、いっぱい降りたりする。
みんなみんな、小さい機械を見てたり、本を読んだりしてる。
ふと、前を見ると赤いエコバッグを手首にぶら下げているおじ様の鞄が気になった。
特にそれがどうというわけでもないけれど、なんとなく始めに「ぽ」の字が浮かぶパン屋さんのだろうかとか考えてしまう。
横にそれっぽい黒いロゴが見えるのも多分そのせいだ。
変な事を思っているときっとここで声を上げて、立ち上がって叫んだら思われるだろう。
でも、もしその鞄が急にモゾモゾ動いて、可愛いうさぎさんが顔を出したら、きっと私は、次の駅で降りるのを忘れて見続けてしまうのだろうなと思ってしまった。
でも多分降りることはできるだろう、今なら。
今の私は、実はとってもトイレに行きたいからだ。
隣の席も、手前の席も、
きっと私のそんなことには気づきはしない。
そして、空が今日はとっても明るいことも、きっとそんなに気にしていないんだろうなと思い、ふと空を見た。
でもきっと、他にもこんなふうに私と同じように空を見上げている人もいるんだろうなぁとまた思いを足しながら。
ヒトガタウサギは何を観る あとわと @AtWt_01
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