私とあの人の勝負
仲仁へび(旧:離久)
01
何度も涙を流した。
何度もあの時のことを後悔した。
だけど時間は戻らない。
一方通行でしか流れない。
私は、あの人を過去に置き去りにして、未来へ進むしかできない。
そんなの嫌だと言って、待ち構えているものすべてを投げ出せたら、どれほど楽だろう。
けれど、それはできない。
私には託された物があり。
願われた事がある。
それを果たすまでは、あなたの元にはいけない。
でもそれを果たせたら。
これは私とあの人の勝負。
決して交わらない平行線上の物語。
互いに想いあっているのに、だからこそ平行線しか歩けなかった二人の物語。
最後の時、あの人は私に「生きて」と言った。
そして自分の代わりに「使命を果たして」とも、言った。
私はそれに首を振った。
だって、あの人と一緒に、終わりたかったから。
あの人がいない人生に続きなんてない。
だから、いつまでも、死の国までも一緒にいたかった。
けれど、あの人は「生きて」と続けた。
私に生き続けてほしいから。
私の事を愛してるから。
生きてさえいれば、私を生につなぎとめてくれる何かが、誰かが現れるかもしれないから。
そんな物ないよ。
そんな人いないよ。
私はあの人の事しか考えない。
あの人と一緒にいる事しか考えられない。
心変わりなんてしない。
あの人がいない未来を生きていくつもりはない。
けれど、あの人はただ笑って悲しそうにするだけ。
なら、勝負をしよう。
このまま共に死んでも私の愛の強さは証明できない。
ならあの人の願いを叶えて、その上であの人と共にいる事を選ぶ。
これは私とあの人の、平行線上の勝負。
互いに譲れない想いをかけた。
互いを想い続ける、愛の物語。
私は託された使命を果たすために、未来を駆け抜ける。
この道の先が、あの人に続いていると信じて。
私とあの人の勝負 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます