第2話 K高、初めての友達

 1年D組、出席番号24番。それがK高から渡された新生活の切符だった。私は、自分のクラスの下駄箱に行き、24と書かれた場所に新品のローファーを大切にしまった。

 

 鞄から学校指定のスリッパを取り出していると、25番の下駄箱に手をかけた人と目が合った。長い髪をポニーテールにした小柄な女の子だった。

「出席番号24番の人?」

彼女は大きな丸い瞳で私を見上げながら言った。可愛い見た目にはあまり似合わない少しハスキーな声質だった。

「うん。出席番号、隣だね。私は佐藤真紀。よろしくね」

「私は鈴井千尋。よろしく」

私たちは軽く自己紹介をして、一緒に1年D組の教室に向かった。


 千尋は、市内でも外れの方にある中学校出身だった。電車とバスを乗り継いで1時間ほど通学にかかるそうだが、K高にどうしても通いたかったと教えてくれた。私が中学時代の友達みんなと高校が離れてしまったと言うと、

「私も!同じ中学一人もいない!」

と笑っていた。

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高校デビューに失敗していじめに遭い、メンヘラになって精神科に行った話 いくいえむ @mix8art

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