第19話 再び海の底へ
彼の言った言葉は正しかったのだ。この世に必要なもの今の事実だけ。図書館は知られることを望んでいない。彼らもこんな絶望味わったのだろうか……。
そして、私は今再びあの海域までやってきた。今度は夜中に。
「姉ちゃん、大丈夫かい? この間より随分と顔色が悪いじゃねえか。それに、夜の海は危ねえぞ」
「ありがとうございます。大丈夫です」
そんな会話をして、私はまた、今度は、穏やかに海へと体を沈めた。
もう一度海へと潜りまた図書館を目指す。すぐに月明りが差し込めない深いところへ辿り着く。ここはこんなに静かだっただろうか。自分の心の臓の音さえも響かない無音の世界。
どんどん深く潜ると遺跡が闇の中から姿を現す。入り口に立ちあんなにも、不気味に思えた鴉が今は温かく迎えてくれるように感じる。そして、私もあの図書館の一部となるために最深部へと足を進めた。
そして私は図書館の住人となった――――。
海の底から 星野詩穂 @HoshiiShiho
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