物語ってのはこう作るんだ!と思わず感心してしまう、お手本のような展開。児童書に挑戦している実としてすごく参考になる。
人に化けて生活する狸(主人公)が突然見知らぬ少女に正体を看破されるという冒頭から引きが強いし、そこからテンポよく魅力的なキャラクターたちが登場して、様々な要素が少しずつつながっていく。
すらすらと読みやすいのに幼稚さを全く感じない文章も児童書として完璧な塩梅だと思った。
妖術を使った王道バトルに加えて、和歌を使って戦うというオリジナリティも他との差別化要素としてすごく秀逸で、和歌への造形があるこの作者様にしか書けない作品になっている。
総じてクオリティが高い一作です!