お金の成る木

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本質

これは、そう遠くない未来の話。


あるところに、なんでも欲しがる欲しがりおじさんがいました。

おじさんは本当になんでも欲しがりました。

広い家、美味しい食べ物、高級な機械など、おじさんが欲しいと思ったモノは、なんでも手に入れようとしました。

ですが、なんでも欲しがるおじさんはすぐにお金を使ってしまうので、欲しいものを手に入れるためのお金がいつも足りていませんでした。


そんなおじさんでしたが、ある時少し珍しい木がひっそりと生えているのを見つけました。

なんとその木は、葉は紙幣、花は硬貨でできていたのです。

欲しがりおじさんはとても喜びました。

「これで欲しいものは何でも買える」

木からたくさんのお金を得たおじさんは、好きなことをたくさんしました。

ですが、好きなことだけしかしてこなかったおじさんはご飯のバランスが悪かったそうで、病気になってしまいました。

お医者さんはおじさんに言いました。

「このままでは死んでしまうよ。早く手術をしなきゃ」


手術にはたくさんのお金が必要でした。

そこでおじさんはまた、木からお金を取ろうとしました。

ですが、以前にお金をたくさん使いすぎてしまったようで、木には少しのお金しかありませんでした。

おじさんは困りました。

「このままでは死んでしまう。まだ生きていたいのに。たくさん欲しいものがあるのに」

わんわんとおじさんが泣いていると、一人の庭師がやって来ました。

その庭師は言いました。

「私が君を助けてあげよう。その代わり、私の願いを一つ聞いてくれないか」

庭師は、おじさんを助けることができたら、お金を分けてもらえないかと持ちかけてきたのです。

藁をもすがる思いだったおじさんは、庭師の話に乗りました。

一月経つ頃、おじさんは庭師に聞きました。

「いつになったら私を助けられるようになりますか」

すると庭師は、お金が詰まったカバンを取り出しました。

「ようやく準備が整ったよ。さぁ、手術を受けに行こう」

こうしておじさんは無事に手術を受け終えました。


少し日が空いたとき、おじさんは庭師に質問をしました。

「どうやってあんなにたくさんのお金を用意したの」

庭師は言いました。

「挿し木という方法で、お金が成る木を増やしたんだよ」

おじさんが庭師に連れてこられた場所には、たくさんのお金が成る木がありました。

これにはおじさんも心底驚き、そして喜びました。

おじさんは庭師に感謝の言葉を述べ、約束通りお金を分け与えました。

そして二人は、ありとあらゆるモノやサービスを買い、以前よりも増して贅沢な暮らしをするようになりました。


こうしておじさんは、──な人生を送りました。

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