改めてよろしくね

「……」


<ガー>は、自分を手にとって頬を寄せてくれたミコナに、ホッとしたように身を任せます。そして、


「……よろしくお願いします……」


すごく丁寧な感じで挨拶を。


そんな様子を見た<フカ>が、


「おめーもあっさり懐柔されてんじゃねえ!」


不満げな様子。


「っっ!?」


怒鳴られてビクッてなったガーがまた泣きそうに。


するとミコナは、


「はいはい、仲良くしてね」


フカも手にとって顔を寄せて諭すように。


「くそっ! やめろ! オレは馴れ合わねーぞ!」


そう言って尻尾でミコナの頬をペシペシと。なのにミコナは、


「あはは、くすぐったい♡」


なんだか嬉しそう。そこに、


「ふん……馴れ合ってるようにしか見えないな」


今度はフカに対して、<タカの姿のかぷせるあにまる>が言う。その物言いに、


「なんだとてめー! もう一度言ってみろ!!」


フカの怒り。


そこにミコナが、


「オウは厳しいね」


さすがに苦笑い。これに対して、『オウ』と呼ばれた<タカの姿のかぷせるあにまる>は、


「む、俺を<王>とは、お前、少しは見込みあるな」


腕(羽?)を組みながら、まんざらでもなさそうに返す。でも、<オオカミの姿をしたかぷせるあにまる>が、


「いや、たぶん、<鷹>の音読みで<オウ>だと思う」


冷静に指摘した。


「……」


これには、オウも気まずそうに顔を逸らして黙ってしまいます。


ここまでのやり取りを見て、ミコナは、


「ウルがみんなのリーダーみたいだね」


ちょっと安心した感じで微笑みました。


「誰がリーダーっていうのはないと思うけど、確かに見たところ、彼らにはやや協調性に欠けるところがあるみたいだね。そういう意味では、<まとめ役>は要りそうだ。


そんなわけで、改めてよろしくね、ミコナちゃん」


ウルがやっぱり丁寧に頭を下げる。


すると、ティーさんも、


「ま、そういうこっちゃ! よろしくな、ミコナはん!」


尻尾をぶんぶんと振りながら声を上げました。




でも、そんな光景を難しい顔で見ていた人が。


ハカセでした。


『これは……完全に失敗だな』


だけどそう思いながらも、フッと表情を緩めたのでした。


『でも、ミコナが嬉しそうだし、いいか……


それに、なるほど<彼女>の魂は、分割はされてるけどちゃんと入ってるみたいだな』


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る