かぷせるあにまるず
『トカゲやない! ワイはT-REX! ティラノサウルスや!』
トカゲ、いえ、ティラノサウルス顔がついたそのカプセルがプンプンと怒ったように言い返したのに、ミコナは驚くどころか、
「しゃべった♡」
ぱあっと顔を輝かせて嬉しそうに手を合わせました。そして、
「ごめんなさい。ティラノサウルスさん。じゃあ、<ティーさん>だね」
笑顔で話しかけます。すると『ティーさん』と呼ばれた<かぷせるあにまる>は、
「お、おう。分かればええんや」
逆に気圧されたみたいに納得した様子でした。
なのに、それを見て、
「ケッ! 来た途端に懐柔されやがって。なさけねーやつ!」
なんだかひどく口の悪いのが。
サメの姿をした<かぷせるあにまる>だった。
だけどミコナはそれにも臆することなく、
「あなたはサメだから<フカ>だね!」
やはり笑顔で。なのに彼女に『フカ』と呼ばれた<かぷせるあにまる>は、
「安直な名前つけんじゃねーよ!」
と言い返す。
そんなフカに対してミコナが、
「ごめん、気に入らなかった?」
問い掛けるものの、申し訳なさそうに自分を見る彼女に、
「はん! 好きにしやがれ!」
ぷい、と顔を背けてしまった。
そこに、
「こらこら、僕たちはこれから彼女と一緒に暮らすんだから、もっとちゃんとしないと」
諌めるような物言い。
オオカミの姿をした<かぷせるあにまる>だった。その上で、
「よろしくね、ミコナちゃん」
礼儀正しく頭を下げる。
だけど今度は、
「サメの言うとおりだ。大衆に迎合するとか、言語道断!」
タカの姿をした<かぷせるあにまる>が、やっぱりつっけんどんな態度で言ってのける。
どうにもとっつきにくいタイプのようです。
そして、そんな五体の一番後ろで、トラの姿をした<かぷせるあにまる>が、泣きそうな表情でおろおろと。
「トラさん……あなたは<ガー>だね♡」
ミコナがそっと『ガー』と呼ばれた<かぷせるあにまる>を手にとって、労わるように頬を寄せたのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます