エッチヘンタイドスケベギリギリマイクロビキニベリベリキュートネコミミニーソ
ダーガレヴィア帝国の都に聳える魔王城。
ぽかぽかとした陽光の差す城内を、
黒色の、エッチヘンタイドスケベギリギリマイクロビキニ姿で。
「ふんふふんふ~ん♪ 血みっどろの~♪ 首を~♪」
鼻歌を口ずさむほどゴキゲンなのは、もちろん、エッチヘンタイドスケベギリギリマイクロビキニを着るのが楽しいからである。露出度が高くて開放感があるし、何よりも、カッコ可愛い。
しかも、ペトゥアは日曜朝の『まほうつかい☆まほきゅあ!』に登場するアクアというキャラクターのことが好きなのだが、そのキャラは変身すると、きわどめなビキニ姿になるのだ。憧れのアクア様のような服を着られてペトゥアはほくほく。まさに、みんなのハートを撃ち抜くぞ☆ ずっきゅるん☆ という感じであった(ペトゥアはアクアのセリフを真似するのが好きであった)。
ペトゥアが歩くたびに、血のように紅いストレートの長髪が左右に揺れてリズムをとる。
金色の大きな魔眼は細められ、雪白の幼い頬は嬉しさに上気している。
そして、エッチヘンタイドスケベギリギリマイクロビキニ。
ペトゥアはちょっとした水魔法で目の前に水鏡を浮かばせ、その前でセクシーポーズをとった。
自己満足に浸る。
「かんぺきだ……」
「何やってんだ?」
「わひゃあっ!?」
鏡を挟んだ向こう側から声がして、ペトゥアは跳び上がった。水鏡が崩れ、霧散する。
そこにいたのは、
真っ白な肌、紅い瞳、やや逆立った銀髪、ペトゥアと同じく低い背丈。
名を、カリスト。
ペトゥアの幼馴染みである。
「何だ、カリストか。どうしたのだ、このようなところで」
「どうした、って……お、おまえこそどうしたんだよ!? なんだよその格好!?」
「これか? これはな……エッチヘンタイドスケベギリギリマイクロビキニである!」
ペトゥアは得意げに腰に手を当て胸を張った。
カリストは顔を赤くしながら、口をもごもごさせて目を逸らした。
「なぜ目を逸らす!?」
「はあ!? 逸らしてねーし! 良い天気だなって思って窓の外を見ただけだし!」
「確かに良い天気だな。しかし、我のことも見てほしいぞ。せっかくおしゃれしたのだからな」
「お、おしゃれ……」
カリストはチラッチラッとペトゥアの方を見るが、まだペトゥアと同年代の少年には刺激が強すぎるようであった。完全に赤面している。
そんな彼を見て、ペトゥアはハッとした。
「貴様……顔が赤いぞ? 風邪でも引いているのか?」
前屈みになり、カリストの顔を上目遣いで覗き込む。ペトゥアの幼く可愛らしい鼻先が、息のかかりそうなほど近くに来て、カリストはなんかちょっともうこれは限界だった。
「うるせえ! これ着ろ!」
「わっ!?」カリストの上着を押しつけられるペトゥア。
「そのローブは返さなくていい!」
「な、なぜだ!?」
「な、なぜって……だ、ダセーんだよ、その水着!」
「ダサいだと!?」
「そうだよ! ダセーから視線逸らしてただけだし! おれはダセーものを視界に入れたくなかっただけだし!
「なん……だと……!?」
「うっ……、お、おれは用事を思い出したから帰る! じゃあな!」
ぴゅー、とカリストは走り去っていってしまった。
ペトゥアは愕然として、幼馴染みの後ろ姿を見送る。
とりあえず、今もらった漆黒のローブを羽織った。
「何なのだ……。…………」
カリストの体温がまだ残っている。
「……………………カリストの……匂い」
ペトゥアは、んふふ、とくすぐったそうに笑い……
その後で罵られたことを思い出し、むすっとした。
◇◇◇
魔王城、玉座の間。
今宵も帝国の四天王が集結し、魔王の前にひざまずいている。
彼ら彼女らの前で、エッチヘンタイドスケベギリギリマイクロビキニ姿の魔王ペトゥアが、頑張って威厳ある声を出した。
「みんなたち。今日もよく集まってくれた。連日、すまないな。来るのが嫌ではなかったか?」
「いいえ」
エルフの美女・風艶のシューロが、淑やかに微笑む。
「陛下のご下命を賜ることが、わたくしたちの喜びでございます。なぜなら、わたくしたちは陛下の忠実なるしもべであり、あなたさまを愛しているのですから……」
(あっシューロの奴、さりげなく好意アピった)(ずるいぞ! 僕もそういうこと言いたい!)(グヌヌ…… ペトゥアチャンサマ! アタシ モ スキ ダカラネ!)
「うむ。ありがとう、シューロ。さて、早速だが、我の願いを聞いてほしい」
「願い、でございますか」
「うむ……。今回お願いしたいのは、他でもない」
ペトゥアは舌足らずな声で言った。
「我を、更なるおしゃれの高みへと導いてもらいたいのだ」
「更なる、おしゃれの高み……」
「今日の昼、我は、とある輩にこのエッチヘンタイドスケベギリギリマイクロビキニをダサいと言われてしまった」
「なんですって!?」
ワイバーン・水葬のルスが憤りに声を上げる。他の三人も、(は? ダサくないだろえっちだろ)(えっちでしょうが)(エッチダロ)と内心で怒りを抱いた。
「そこで、みんなたちが思う〝おしゃれ〟について意見を聞きたい。どんな服装がおしゃれなのだ? 我はエッチヘンタイドスケベギリギリマイクロビキニこそがおしゃれの頂点だと信じて疑わなかった。しかし、更なる上を目指せるのなら……」
「おそれながら、陛下」
低い声を発するのは、ワービーストの狼耳男・火迅のアドラ。
「陛下のエッチヘンタイドスケベギリギリマイクロビキニは、既に十分な美しさ、愛らしさを備えておいでです。しかし、それ以上の高みをゆくと仰せになるのであれば……」
彼は腰に付けていた小さなバッグから、何かを取り出す。
それは……
黒ネコミミカチューシャと、黒ニーソックスであった。
「こちらをお召しになられるのがよいかと存じます」
「それは?」
「ベリベリキュートネコミミニーソでございます」
「ベリベリキュートネコミミニーソ……」
「はい。ベリベリキュートネコミミニーソ」
アドラが得意顔でニヤリと笑った。
ルスとシューロとマガンは、(こいつマジか?)という顔をした。
「エッチヘンタイドスケベギリギリマイクロビキニと、ベリベリキュートネコミミニーソを合わせれば、その可愛さは何十倍にも膨れ上がります。そして、それを魔王陛下がお召しになられたなら、何十倍どころか何百倍にもなることでしょう」
「何百倍……! それは具体的に、どのような計算式でそうなっているのだ?」
「可愛さに理屈は関係ありませぬ」
「適当なのか!?」
「ささ、まずはこのベリベリキュートなネコミミカチューシャを……」
アドラからネコミミを受け取り、ペトゥアはそれを頭に装着する。カチューシャとはいえ、ネコミミの部分はリアル寄りで、ふさふさの猫毛が再現されている。それどころか、内蔵の機構により時折、「ぴくっ!」「ぴくくっ!」と動くようになっていた。可愛すぎて、四天王は既に卒倒しそうになっている。
続いて黒のニーソックスを履く。こちらは正確にはオーバーニーソックスと呼ばれるもので、膝上十五センチ程度の靴下である。いつ測ったのかペトゥアのサイズにぴったりで、アドラ以外の四天王は再び(こいつマジか?)の顔をした。
ペトゥアの細い太ももに、ニーソの履き口がピチッと食い込む。
四天王は限界が近い。
一方のペトゥアは、水鏡を発現させ、自分の姿を確認しながらくるりくるりと回っている。
「おお……! これは確かにすごく可愛いな! 我の白い肌と黒いニーソが引き立て合っている。紅髪と黒ネコミミの組み合わせも、なかなかのものではないか……!」
「さすが陛下! 可愛らしいです!」「素晴らしいですわ!」「陛下! カワイイ デス!」
「ふふん。ありがとう、みんなたち。アドラも、用意してくれてありがとうな。……そうだ、せっかくだから、猫っぽい口調をやってみよう」
「陛下……」
先程から意識を保つのに必死なアドラが、ようやく口を開く。
彼は猫耳っ娘が大好きであり、性癖を突かれて心は深い幸福に満たされていた。
そして、誓う。
このような幸せをくれるペトゥアを、必ず最後まで支えよう。
どんなことがあっても、ペトゥアを守り抜こう、と。
アドラは、万感の思いに声を震わせた。
「とても……おしゃれでございます」
「そうかにゃ? ありがとにゃん!」
アドラ卒倒!
「アドラ!? どうしたにゃん!?」
アドラ昇天!
「みんにゃたち、
アドラの魂、救済!!
エッチヘンタイドスケベギリギリマイクロビキニ かぎろ @kagiro_
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