検事の最終弁論と判決
「被告人は1人の女性を惨たらしく殺害し……」
俺は、どんだけ空々しい事を言ってるんだ?
「全く反省の意も示さず……」
あんな阿呆にとっての「反省」がどんなモノか想像もしたくない。
「……検察は死刑を求刑するものであります」
それこそが、あの阿呆の望みで、それを阻止しようとしたのが弁護人だった。
この裁判、何か色々とおかしいが、おかしい事件の裁判は必然的に変になってしまうのか?
被告人は人の命を何とも思わず、「連続殺人犯として歴史に名を残す」と云う狂った夢の為に、人1人殺した残虐で冷酷なクソ野郎ではある。
その事は、弁護人も否定してはいない。
ただ、その狂った夢を叶えるには……被告人の能力が圧倒的に足りていない事を証明しやがった。
そうだ……その通りだ。「連続殺人犯」を目指した被告人が結局殺せたのは1人だけで、2人目の被害者に反撃された挙句に、あっさり逮捕されたのだ。
弁護人は、よりにもよって、人1人殺したヤツを、真面目に取り合うのも馬鹿馬鹿しい道化に仕立てやがった……。いや、「仕立てた」と云うより、被告人は、本当に、笑い物にするしかないような道化だったが。
ここまでの馬鹿を死刑にすれば、死刑と云う制度そのものが凌辱されかねない……。そんな「空気」が生まれてしまったのだ。
判決は無期懲役だった。
その判決を聞いた残虐で冷酷で頭も手際も悪い運動神経ゼロで体力もあまり無い思い込みの激しいマヌケなクズ野郎は、俺の方を向いて深々を頭を下げた後……。
「ありがとうございます。検事さんが頑張ってくれたおかげで……残念ながら死刑には成りませんでしたが……見事、無期懲役を勝ち取れましたっ♥」
うるせぇ。お前の為に頑張ったんじゃねえよ。
無惨・悲惨・凄惨・陰惨……そして杜撰 @HasumiChouji
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