キスをすると、もれなく王さまに消されてしまうらしいのですが
うにまる
それでもあなたはキスがしたいの?
ある日の夜のこと、男と女はリビングのダイニングテーブルに向かい合わせで座っていた。
男は
一方の女は
テーブルの真ん中にはコルク
「むかしむかし、とはいっても最近なんだけど、とある国の王さまが突然ヘンテコなことを言いました。 キスをするとたちまち姿が消えてしまう魔法を全国民にかけた、と。 王さまは口と口を重ねる行為がこの上なく嫌いで、とうとう魔法を使ってしまったと言うのです。 別にキスをしなくても仕事はできるし、性交渉だってできる。 王さまは国の
かららん、ころろん。
ふーふーふー。
「ところが、声明が出てから一ヶ月ほど過ぎた頃でした。 国民の心が
かららん、ころろん。
ふーふーふー。
「ところで今の実話を聴いてもなお、あなたは私とキスがしたいの?」
「うん。 だって、本当かどうか興味あるし」
「それってただのカリギュラ効果じゃないの?」
「君は頭がいい」
「
「いつの間にか、キスは誰とするべきだったか思い出せなくなっていてね」
「やっぱり、恋人とか夫婦とかじゃないの? 他の国は知らないけど」
「だとしたら僕たちも当てはまらない? 似た者同士だし」
「似てなんかないわ。 私、
「それを言うなら僕だって
「じゃあキスしない方がよさそうね」
「本当に君は頭がいい。 だけど、そうじゃなくて。 ほら、そこの小瓶」
「……たしかに、
「その通り。 自殺志願者同士、
男と女は同時に立ち上がり、
「ちなみになんだけど、どうして人はキスをしていたんだと思う?」
「そうね……。 きっと魔法にかかりたかったからじゃない?」
「なるほどね。 僕もそう思う」
「……嘘つき」
グラスの氷がくるりと転がる。
マグカップはまたひとつ温度を下げた。
キスをすると、もれなく王さまに消されてしまうらしいのですが うにまる @ryu_no_ko47
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