モダンに順当進化した古典的ハードボイルド。

謎、暴力、どんでん返しからの生還。主人公の反骨心に満ちたエネルギッシュさ、清涼感すら感じる泥臭さ、ニューエイジ・ハードボイルド(これも昭和風の言い回しだが)とでも名付けるべきか。私が好みとしている物語の波長と明確に合致しているので、読んでいる節々でニヤリとするものがある。

現代日本を舞台にどうやってガンアクションを成立させるか、という『設定』の詰め具合には、非常に参考になるものがあると思う。私が模索しているアプローチとは異なり、主人公の『基本的には法を順守する』という、限りなく善玉に近いダークヒーロー的なスタンスは、私の脳裏にフィリップ・マーロウの姿を思い起こさせて余りあるものがある。

ヒロインの二人は(”二人”だよね?)いずれも癖が強く、それぞれ今後の関係性がどのように変化していくのかが楽しみでもある。(このレビュー投稿時点での最新話/バッド・イヤー・エンド⑤の展開を見る限り、主人公が暴力的な行動に及ぶに至った、ヒロインとの”関係性”について何らかの想像の余地があるものと考えた)

純粋な読み手としての視点からすると随分に色気の付いた評価となったが、ともかくこういった話を読むことでしか摂取出来ない栄養が確実にあるのだ。私も何だか頑張らなきゃならんなあ、と背中を押された……いや『尻を蹴飛ばされた』気分になりながら、何だかんだ私より上手いこと書きやがってと悔しい気持ちもありながら、何やかんや続きが読めたらいいなぁとか思いながら、筆をおくことにする。

私もいつまでも腑抜けてばかりはいられない。筆者の知らないところで勝手に奮起させてもらおう。

つまりは、そう。そういうのが好きな男の子向きの(主には。稀にそういうのが好きな女の子に向けても)最高な物語ってことです。

以上