第63話 ダンサーの荷物と噺家の荷物。

ダンサー時代は、とにかく荷物が多かった。

リュックの中身は、着替え(Tシャツ、ジャージ、下着、靴下)、上履き、CDを複数入れるケース、etc...。

iPodが出てCDの枚数が減り、だいぶ楽になったが、iPodではリズムの早さを変えられないので、結局ダンスを教える時用にCDは常に持ち歩いていた。

僕はリュックだったけど、キャリーバッグを使うダンサーも多かった。


噺家になったら、やはり荷物が多い。

前座の頃のリュックの中身は、着物を入れた風呂敷(着物、帯、半襦袢、肌襦袢、ステテコ、足袋、手拭い、扇子)、畳紙(たとうし。これを広げてその上で着物を畳む)、前座道具一式(出囃子のCD、黒と朱の二本の筆ペン、マジック、修正液、セロハンテープ、etc...)、雪駄などが入っている。

二ツ目の今は着物を入れた風呂敷(着物、帯、半襦袢、肌襦袢、ステテコ、足袋、手拭い、扇子)、畳紙、出囃子のCD、雪駄など。

面白いのは、ダンサーも噺家も基本的な荷物は着替えと履物、CDである事だ。

まあ、着替えや履物は当たり前として、噺家になっても毎日CDを持ち歩く事になるとは思わなかった。ダンサーよりも枚数は少ないけど、必需品である事には変わらない。

前座は特に、荷物はリュックでなければならない。理由は師匠方の荷物を持てる様に、と出入り口を開けて押さえておける様にする為だ。片手が塞がっていてはこれが出来ないからである。

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半生記 三遊亭楽天 @rakuten3ut

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