後宮の闇から飛び立て!
- ★★★ Excellent!!!
後宮で育った少女カシワと、皇子であるが故に、後宮(ハレム)の一角である鳥籠(カフェス)にてずっと自由を奪われ続けていた少年、セリㇺ。そんな二人の、自由を求めた逃亡劇。
主人公であるカシワが可愛く、そしてカッコよく、困難に直面しても前に進んで行こうとするその姿を応援したくなります。そしてセリㇺも、最初はカシワに引っ張られている印象だったのに、決める所はしっかり決めてくれます。
そんな魅力的な二人と共に本作を面白くしているのは、この逃亡劇の根底にあると言うべき後宮の闇。
後宮。つまりはハレム。今やラノベですっかりおなじみとなっているハーレムの語源ではありますが、あんな可愛いものとは違います。権力争いや、それへの対抗案など様々な思惑が絡んでいった結果、驚くほど歪に歪んでしまったシステム。オスマン帝国をモデルにしたそうですが、こんなものが現実にもあったのかと思うと、戦慄せずにはいられません。
だからこそ、そこから逃げ出そうとする二人が、何としても成功し幸せを掴んでくれますようにと強く願います。