自然な文章で共感できる

昔、遠出した場所で偶然出会った人との再会。相手は夢破れたり、現実に目を向けながらも大人へと成長し…。


過去に行った場所の写真、旅先の栞を見ると、感慨深くて不思議なくらい切なくなる気持ち…それが思い出される短編。


再会した人を見て、その軌跡を想像した時、今の自分の立ち位置も見えてくるのかもしれません。


文章が自然で正直で、すーっと自分の中に入ってきます。旅の記述も華美な表現はなく、共感できます。そして肝心な五年前の出会いの詳細や会話を敢えて書かずに想像させるところが凡庸でないなあと思いました。