願い

深い深い水の底に囚われて、身動きがとれない。

腕も脚も水草が絡まって、もう浮上することはないのかもしれない。

頭上に揺れる光に包まれることは、おそらく、儚い夢だろう。

だから

せめて

仄かに光る月の欠片を、どうか、わたしに。

夢の欠片を、どうか、この手に。

かすかな光でもかまわない。

きっと、小さな光が、わたしの吐き出した泡を照らし出す。

水面へと上がっていく泡を見上げながら、わたしは今日も生きていることを知るだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界の色と音と、それから… そら @hoshizora_cat

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ