第6話

俺は、コンビニの帰り道。


犬に吠えられ電柱にしがみ付いている後輩。


奏門佳奈を発見したのであった。


「いや、何してるって見てわかりませんか?先輩・・。」


と言われもう一度奏門をまじまじと見つめる。


電柱にしがみ付いている奏門とその下にはブンブンと尻尾を振りながら吠えている犬が一匹。


と言うか、電柱にしがみ付いている姿を見ていると奏門がコアラに見えてくるな。

・・・フフッ。


と思わず笑ってしまった。


「いや、フフッ・・・じゃないですよ!?」


「ああ、悪い。今、奏門がどういう状況か理解した。」

と特に意味もなく決め顔で言った。


「・・・・・。いや、なんですか。その顔。キモイですよ?・・先輩。」


ガーン・・・。なん・・・だと。


バカな・・・いつか役に立つと思って毎日、鏡に向かって練習してた決め顔が・・・。


俺は軽く傷ついた。嘘です。結構傷ついたであった・・・。


「理解したんでしたら、早くそこにいるワンちゃんをどうにかしてくださいよ!降りられません。」


「私・・・ワンちゃん苦手なんですよ!だから、そこのワンちゃんをどうにかしてくださいよ!先輩!」


少し泣き目になりながら俺に向かったそう告げた。


なんだと!?可愛いだろ!ワンちゃん!勝手にどこにも行かないし!基本的に忠実だし!いや・・・猫も好きだけども・・・!!だけどもッ・・・!!!


でも、俺は犬派だ!悪いな、猫派の皆々様!


いつか、奏門にワンちゃんの素晴らしさを伝えようと異議申し立てようと思う俺であった。


「フッ・・・仕方ないなぁ・・・。後でワンちゃんの素晴らしさを教えてやるからそこでもう少し我慢してろ。」


「は、はい!出来れば早めに何とかしてください!電柱にしがみ付てるのもそろそろ・・・限界です!」


と、少し辛そうな表情で奏門はそう俺に告げる。


とは言ったものの・・・特に良い案があるわけではない俺は、とりあえず奏門から注意を引かせるべき俺は・・・。


ワンちゃんに近づき先ほどコンビニで弁当を買った時についてきた割り箸をワンちゃんの方に見せその割り箸を左右に振り・・・思いっ切り投げた。


そして、それに反応して割り箸が飛んで行った方に勢いよく走りだすワンちゃん。


よし!今だ!と思い未だに電柱にしがみついている奏門に今だ!来い・・!とおんぶの態勢で合図を送る。


「えっ?え・・!?なんでおんぶの姿勢何ですか!?意味わからないです!先輩・・!?頭大丈夫ですか!?」


と、何やら叫んでいた。


「いつまでもそこでそうしてるつもりか?いいから!来い!奏門!!!」


と、有無を言わさずそう言い放った。


奏門は少し考えながら電柱から飛びのき俺の背中に飛んできた。


「うおっと!」と、俺の背中に少し衝撃が走ったと同時に背中に柔らかい感触が広がった。


「あ、す、すみません・・!」


「いや、大丈夫だ!、よし行くぞ!」


と、ワンちゃんから全速力で距離をとる俺達。


「は、はい!でも・・少したったら下ろしてくださいね!?恥ずかしくて死にそうです・・・!!!」


「わかってる・・!俺もめっちゃ恥ずかしい・・・!!」


と、奏門を背負いながら俺は走るのだった。


そして・・・



息を切らせながら全速力で走っているせいなのかそれとも後ろに背負っている奏門の香りのせいなのか俺の心臓がバクバク鳴っていてとても痛かった。









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俺の後輩は、なんやかんや俺に絡んでくる。 窓カラス @madokarasu

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