第24話 めでたし、めでたし
母が病室を去った後、私はあきらの方を見た。
「ごめんね。」とあきらがまた言う。
「なんで?」と私は聞く。
「私、ブスなんだよ。顔も中身も。美華の友達になれるような人間じゃないんだよ。」言っているうちに、またあきらは泣き出す。もともとマスカラが
なんだよ。そんなくだらないこと言うな。昼ドラじゃあるまいし。
「私の友達やめたら、ぶっ殺す。」と私が言うと、あきらは吹き出した。それからまた泣いた。泣きすぎだ。
あきらはブスなんだろうか。化粧がハゲてひどい顔なのは事実だけれど。
私はあきらが、かわいいと思う。
「美華は画家として成功して、信じられないくらいお金持ちと結婚して、子どもをたくさん生んだらいいよ。」突然、あきらが言うので私は混乱する。
「そしたらさ、一星くんがいつ帰ってきても、びっくりするでしょ?」
今度は私が吹き出した。一星くんの困った顔が目に浮かぶ。あきらの馬鹿げた提案に、私は思いの外、嬉しくなる。だって、その未来予想図には一星くんがいる。
ねえ、あきら。「めでたし、めでたし」なんて本当はないよね。そんなの、誰だって知ってる。でも「めでたし、めでたし」の向こう側も不幸ばかりじゃない。
私は一星くんの帰りをもう少し待ってみるよ。
【完結】私が殺した白雪姫 かしこまりこ @onestory
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