第13話 人質と身代金 6
ドンっ
車のタイヤをバットで叩いたような鈍い衝撃音。
「あぁーーー!指がー!!痛い痛い痛い!」
その後は、声にならない声と子供の泣き声だけがヘッドホンを通じて鼓膜を刺激し続ける。
狂気だ。
胃から込み上げるものを必死でこらえながら進み続け、ようやくトイレに到着し、自転車を乗り捨て3つある個室の真ん中に入る。
閉じられたら便座の上に噴水で見たのと同じ青いゴミ袋が置いてある。トランシーバーからの指示はないが、僕は中をみる。
社長室に届いたのと同じ黒い封筒と、ボロボロのリュックサックが入っている。
封筒を開けて中を見ると、A4用紙に指示が書いてあった。
「1. 扉の鍵を閉めろ
1. 4,000万円をリュックサックに移し替えろ
3.今着ているものを全て脱ぎ、青いゴミ袋に入れろ。トランシーバーとヘッドホンもだ
4.服を入れた青いゴミ袋を扉に向かって右側の個室に投げ入れろ。リュックサックはそのまま手元に持て」
裸になれということか?パンツも脱いだ方がいいのか?
羞恥心からパンツくらいは、という考えが頭をよぎったが、狂った犯人は何をするか分からない。
僕は指示通りに4,000万円をリュックサックに入れ、全ての服の服を脱ぎ、全裸で青いゴミ袋を右隣の個室に投げ入れる。
ドサリという音が聞こえるかと思ったが、実際にはそれほどの音はしなかった。服が濡れていたからか?
いや。
隣に誰かいる。
衣擦れの音がし、微かに呼吸の音も聞こえる。
まさか、犯人か。
キッドナッパーズ - 言えない誘拐 @yusukexo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。キッドナッパーズ - 言えない誘拐の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます