親子、家族、兄弟姉妹…さまざまな形で存在する血縁を題材に扱った本格社会派ミステリーです。
死産を経験した主人公の芙季子は、夫と心がすれ違うを感じつつも気付かない振りを続けて過ごしていました。
そんな折に夜の学校で女子高生二人が刺される事件が発生します。
二人はそんな時間に学校で何をしていたのか? 二人にいったい何があったのか?
記者魂が目覚めた芙季子は取材をはじめますが――。
やがて明らかになっていく少女二人の素顔。彼女たちを取り巻く状況、家族関係…。
複雑に絡み合った事件の真相を追ううちに、芙季子自身もつらい現実と向き合う勇気を手に入れていきます。
血縁とは誰もが潜在的に抱えている問題でありながら、他者に理解されにくい閉鎖的な関係性でもあります。
難しいテーマに真摯に向き合った素晴らしい作品だと感じました。
ラストは感涙もののカタルシスです。