エピローグ

 映画が終わった。

 私は、途中から震えが止まらなくなってしまっていた。何となく不安が募る。

「……ねぇ、オーナー。ほんとにこんな未来が来ちゃうのかな?だとしたら、怖い。すごく怖いよ。どうしたらいいのかな?あの世界はどこで間違えちゃったのかな?いや、間違いだったのかな?それも分からないけど、私は……ううん。私たちはどうすれば、あの世界にたどり着かなくて済むのかな?」

 私たちは私たちが住んでる世界を、ただただ生きやすくするために、何かを壊して、新しいものを作り出して、それを使って、捨てて、世界を汚してを繰り返している。でも、それって正しい事なのかな。当たり前なことじゃないってことだけは分かる。でも、その当たり前じゃないことは当たり前の事として私たちの生活に染み込んでいる。果たして、それが無くなった時、私たちは生きていけるのだろうか。

「フィクションはあくまでフィクションだ。この映画も例外ではなくね……そう言ってしまえれば、これほど簡単なことは無いだろうね。この先のことは誰にもどうなるかなんて分かりはしないんだよ。でも、どういう未来を描きたいかは、自由に決められる。もちろん、それへ向かうための手段も。これは、僕に聞いて解決する話じゃないさ。さぁ、君は何を望む?どんな未来を描く?何を正しいと言う?答えは全て、君の中にあるのだから」


 オーナーの無機質な声が響く。


 暗く広い部屋に私はひとりぼっち。

 誰もいない。人の温もりなんてものはない。

 あるのは擬似的なヒトガタと、煌々と光を放つモニターだけ。

 それらは、無論私に答えなどくれるはずもなく、道標だけを残して消えてしまう。


 私は襲ってくる不安から逃れるために、たどり着くか分からないその道標にすがりつき、闇雲に、がむしゃらに、私は私の描きたい未来を描く。その先に待ち受けるものがこの世界の破滅だとしても、わたしは、私が私として生きたことを、生きた世界を悔やみたくなかった。

 その事だけが、私にとって唯一の正しいことだと、私は信じているから。

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ボクラノミライ 日景の餅小豆 @hikage-1103

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