第4話

何度も 逃げ惑うロベルトを

護衛しつつ 3人はダンジョンの中で


火を炊き 国からの支給品を

食べ、一日を過ごすことにした


3人の顔を火の光が照らし、

なんだか ぎこちない中

イザベラが 話をきりだした


『 このままでいいんですか?

ロベルト様は 』


国を継ぐものとしての覚悟と思考について

イザベラは語っていた


『 結局 俺がどれだけ頑張っても

優秀な 兄たちに勝てるはずがないんだ、 』


ロベルトは下を向き、

出会った頃には見せなかった 悲しい顔をしていた


『 大丈夫、

ロベルト様は大丈夫ですよ 』

どんなに自分が弱くたって どんなに自分を嫌ったって

逃げず こうして人に頼ってでも前に進もうとしてるじゃないですか

見せてやりましょう、みんなに


ロベルトの頭を撫で イザベラは弟を見るかのような 優しい表情を浮かべながら そう言った


『 ふんっ!今日はもう寝る

また明日だ 』


ロベルトは少し頬を赤く染めていた


3時間後、


『 イザベラさん 見張り変わりますよ 』

『 ありがとう.まだ平気だ 』

『 珍しいですね イザベラが

あんなに熱く語るなんて。 』

『 ・・・・・ 』

『 俺は今回 手を出さないつもりだ 』


『 『 え? 』 』


その夜

イザベラは 王子としてのリベルトの第1歩を踏み出せるように背中を押したいと言っていた

私も 賛同し 機械魔獣の元に向かうことにした


朝になり

無数の槍、足元の棘、

沢山のトラップをかぎわけていった


試練の間の前まで着くと

近くから 何かが崩れるような大きな音が聞こえ、


ニコが慌てふためく ロベルトの手をとり

3人は 試練の間へ入った


すると

機械魔獣は 粉々に壊れ

そこには 一人のフードの男が立っていた


無音の部屋に謎の男の靴の音だけが

響き渡っていた


『 お待ちしておりました、』


『 魔獣?! 』


すると くるりとこちらに振り返り

男は ニヤリと笑みを浮かべ

ニコに向かって1つの魔法を放った


『 危ない!! 』

咄嗟に ニコを守り助けたイザベラの

身体は壁画のように固まっていってしまった


『 この魔法に触れたのが最後

私のコレクションになってしまいます 』

壁画になった イザベラを魔獣は手足のように

操っていた


そして 一瞬にして ニコをも固まらせてしまった

『 ロベルト君..逃げて.. 』


徐々に 固まっていくニコの身体

魔獣の高笑い

死を確信した 戦い


その時

ロベルトの脳裏には

今は亡き母の言葉がよぎっていた


『 王は民のため 民は国のため

ひとりで1番になれなくたって 皆で

1番になって 皆で笑えば もっと幸せだね 』


兄たちから 一人 遠のいていく自分

将来 国を担っていくというの 不安


『 ロベルト様は大丈夫ですよ。 』


『 ロベルトォ!

大志を燃やせ 王子としてではなく

明日が自分自身であるために!』


壁画の中からイザベラの声が聞こえたような気がした


この 試練を受けることになった時には

もう既に決まっていたのかもしれない、


『 これが

ロベルト・ラビス 国を担う者の答えだ! 』


ロベルトの意志に反応したかのように

剣は光を増し 魔獣を切り裂いた


『 ナッッッッッ 』

その瞬間 ニコの石化は解除された


『 戦士の誇り、

ラビス王国のガキですか。 誤算ですね 』


『 魔獣 六軍神の一人

束縛のタナトスと申します 以後お見知りおきを。 』


そういえと タナトスは

再びお辞儀をし 闇の中へと消えていった


ロベルトは

その瞬間 胸の高鳴り 鼓動を身体全体を通して感じていた


『 イザベラぁぁあぁぁあ!!』


謎の魔獣 襲撃後

私たちはダンジョンを後にし

ラビス王国の王の元へ行くことにした


『 息子への協力 感謝する

力になれず すまない 冒険者リベルよ 』


『 イザベラは俺の恩人だ、

ラビス王国でも 迅速を尽くしあの魔獣の

追跡を行い

情報が入り次第 即座に知らせる。 』


ラビス王から1枚の手紙を受け取り

ニコは ラビス王国を後にした


突如 現れた魔獣に

イザベラを奪われ、一人になった瞬間

不安と後悔に押しつぶされ


1人では結局 何も出来ない

何も変えられない

前へ進んでいた気になっていただけだと

改めて痛感していた


すると

無意識にラビス国王からの手紙に

手が伸びていた


剣豪 ウィル・グラン


ラビス王からの手紙には

そう書かれていた


ラビス王国からそう遠くはない

『 谷の牢 』という場所で

一人 修行をする戦士がいるという、


山を割った という噂まである強者らしい


心に余裕もなく宛もない私は

ラビス王の勧めを信じ 剣豪に助けを求めることにした




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半魔の鏡 伊吹とろろ @tororo_ibuki

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