第181話だから・・・(最終話)
だから・・・(最終話)
だから、俺は(最終話)
あれから……
次の日が休みの時、そのまま武村の家で6人で飲んでいると、陽気な洋子さんはいつの間にか次郎君の膝の上に載って、次郎君の首に両手をまわし、次郎君にスリスリしながら昔話をする。
「高校の修学旅行の班決めの時にね、純ちゃんが急に立上がって、かっちゃんのところに行ってそのまま、こうやって膝の上に載ったの、周りの皆は何が起こったんだ?って感じで固まっちゃってね、そうしたら「かっちゃんは私の彼氏、私達付き合ってるの、だからかっちゃんは誰にも渡さない」だっけ?
そんな感じの事を、純ちゃんが皆の前で宣言したのよね、もうびっくり、あの時は2人が付き合ってるなんて誰も思ってもみなかったし、まだ『あの村井さん』ってイメージだったから、ほんと驚いたわ~
あの頃からかっちゃんにべったりだったのよね~」
「もう、洋子さんってばー」
「そうだなー、あの頃から純は高谷にべったりだったよな~」すかさず武村が、
「へ~、そうなんですか、純さんが・・・・・・想像できないですね」
「もう」照れている純がかわいくて。
そういう俺はお酒に弱いこともあって、ふわふわしながら気が付くと、純の膝枕、純が俺の頭を撫でながら、俺に向かってニッコリ チュッ♡
こんな話をする日がくるなんて・・・・・・なつかしいな~。
中野さんと田代さんは昔に比べ会う機会はほとんどないけど、しっかり専業主婦しているし、皆自分の道を進んでいるんだよな~
////////////////
「じゃあ、次郎君、今日も頑張ってね♡」
「はい、行ってきます」
「いってらっしゃい♡」
そう言うと次郎君のホッペにチュッ
あいかわらずと言った顔をして、武村が2人を見ていると、洋子さんは
「いっちゃん、何見てるのよ、あなたも一緒に出掛けるんでしょ」
「ああ・・・・・・なあ、なんで俺はいっちゃんなんだ?」
「だって、いっちゃんでしょ」
「俺は一応お前の義兄だぞ」
「だから?」
「義兄に向かっていっちゃんって」
「そういういっちゃんだって、純って呼び捨てじゃない、義姉でしょ?」
「・・‥‥まあ、でも小学生のころからそう呼んでるから・・・・・・」
「そんなの関係ないわよ、いっちゃんが純って呼んでるんだから、わたしもいっちゃんって呼んでもいいじゃない、私達皆高校の同級生なんだから」
「・・‥‥まあ・・‥‥」
武村でも洋子さんには勝てないんだなー
こんなやり取りを見ていると、ほんと、幸せだな~って思う。
横を見ると純もほっこり顔で2人のやり取りを見て、それから俺を見てニッコリ
俺は思わず、純の唇にチユッ。
「あら?何どさくさにまぎれて、いちゃついてるの?ほら純ちゃんもかっちゃんも早く!」
「はーい」
「はい」
竹下さん、もとい市井さんではなく洋子さんは、こうやって俺たち皆を仕切っているけど、次郎君には、あまあまべったりで、ほんと幸せそう。
ほんとよかった。
こんなやり取りをにっこり微笑んで見ている恵ちゃんが
「いっちゃん、いってらっしゃい♡」
「ああ」
「ああじゃないでしょ、ちゃんと恵ちゃんに挨拶は?」
洋子さんの突っ込み
「ああ、行ってくる」
「はい♡」
「皆がんばってね♡」
恵ちゃんと洋子さんに送られて、4人で会社に。
恵ちゃんと洋子さんはずーっと俺達の子供を赤ん坊のころから面倒を見ており、小学校は全員地元の国立教育大学付属に通っているので、学校の送り迎えを、そしてそのまま学童保育のような形で2人が面倒を見ている。
俺達がこの会社に入社してから数年後、武村の父親が脳梗塞を患い、世田谷のバリアフリーマンションに看護師(愛人)と住むようになってから、この家を大改装をして、次郎君と母親が引っ越してきた。
次郎君と母親は、この家に住むことにかなり抵抗したらしいが、俺たち全員の子供の面倒を見なければいけないし父親がもうこの家にはいないからということで、なにかあればすぐ出ていくという条件で戻ってきてもらった。
その際、大改装して2世帯+1に、
意味もなくばかでかい家だからそれでも十分広い。
最初、1階で子供たちを1カ所で面倒を見れるように、いずれ大きくなったらパーティールームとして使えるようにとリビングを大改装。
まもなく洋子さんと次郎君が結婚し2世帯プラス母親の大家族に。
洋子さんはあれから正社員になって新入社員の次郎君と社内恋愛(厳密にはその前からつきあってたけど)の末結婚、子供が生まれるとそのまま寿退社して、恵ちゃんと一緒に子供たちの面倒を。
水野さんが滅茶苦茶喜んで
「洋子ちゃん、良かったわね、ほんとおめでとう」
営業や設計の独身連中は『ちくしょう!』
って次郎君がいじりまくられ、そしてうらやましがられ、おじさん連中は、人妻でも良いから辞めないでくれって。
子供ができて、産休ではなく退職を選択したときなんか、子育てが一段落したら何年先でも良いから戻って来いよ~。
見た目超絶エロ美人だけどとっても陽気な洋子さんの人柄だよね。
純も一緒に子供の面倒を見たいと主張したが、仕事を覚え、労務管理の中心的なポジションで、さらに広報的な仕事に欠かせないことから、全員で純はこのまま武村建設で働け!って、だから嘱託扱いにしてもらい週4日と早めに帰ることで妥協。
武村は入社早々、父親が役員会で武村を後継とする宣言をして、3年目、取締役にはまだ早いということだけど、これもまた無理やり執行役員制度を作って執行役員に。
もともと武村の父親が1人で立ち上げてここまで大きくした会社だから、誰も文句は言えなかった。
まあ設計部門には次郎君、管理部門は俺と純がいるから、そっちの情報がしっかり入っていることもあるので、役員会などでもそれらしく振舞えたらしい。
それから武村は、オーナー会社の社長が息子に跡を継がせる時の方法としてよく使うやり方なのに、その方法を使って俺と純にストックオプション形式で自社株をどんどん取得させ、父親が脳梗塞で手術・入院することになった時、大量の自社株を生前贈与の形で取得、3人の持ち株を合計すると50%を軽く超えるまでに至り、登記上は武村の父親が社長のままだけど、実際には会長兼社長という肩書だけで週1回数時間しか来ないことから、武村が副社長に、経験が乏しいものの、高校時代から社長の息子としてバイトをしていたおかげで、すでに顔が知れ渡っており、あの武村が真面目に一生懸命だったことから、あの武村が皆からかわかわいがられていたこともあり、実質会社を回していた古株のいわゆる大番頭さん、番頭さん達がそのままあの武村を一生懸命補佐してくれ、そして10年目にして、武村が本当の社長に。
それから数年後、俺はあれからで勉強を始めてから、中小企業向けのコンサル資格を取得したこともあり、武村が無理やり経営企画室というのを作ってそこの室長になった。
当時、2人で勉強を始め最初の1年目、俺は1個受かって1個落ち、ここまで勉強したのだからもったいないからともう1年勉強することにした。
純は・・・・・・落ちた、
「かっちゃんがもう1年勉強するのに付き合ってあげたいから♡」
「そんなの付き合わなくて、純が受かってもよかったんじゃない?」
「何言ってるの、2人一心同体でしょ、だからもう1年一緒に付き合ってあげる」
「ふ~ん」
「何よ」
「いや~、別に~」
2年目に純も、俺も受かって、でもこのままではと思い、母校のビジネススクールに行こうか悩んだけれど、なるべく純と一緒にいたいから、国家試験で中小企業向けのコンサル資格があって、MBAの基礎知識が身に付てられそうな内容で意識高い系サラリーマンに人気というので、その勉強を始めた。
一緒に、って言って純が今度は簿記の勉強を始め、そして2人とも無事受かった。
その試験会場が母校、卒業後改めて行ってみると、なんかこういろいろな思い出がよみがえって、なつかしくもあり、イヤなこともあったけれど良い思い出だけがよみがえる。
まだまだ30代なのに、それを理由に無理やり室長にってことなんだけど、当然兼務で財務がメインだから中小企業はそんなもんだよ。
それでも、高校2年の時、俺が武村にバクドで言ったこと、そして武村が、その時決心したことが、実現した。
思えばあっという間だったな~って時々武村とお昼を食べながら話す。
純は、子持ちの人妻にもかかわらず年齢とともにますます磨きがかかり大人の魅力が増して、それはもう大変。
たまに純と2人で出かける事もあるけれど
男って若いうちに会社を立ち上げ、社長とか社会的地位?お金?を得るとそういう傾向があるのか?その自信はどこから来るのか?ってくらい節操がない。
俺が席を外しているちょっとした間に、やたらと純にからんでくる、やたら自慢話ばっかりだそうだ。
でも、俺達もあれから随分と成長した。
そういう輩は、洋子さん直伝のひらひら戦法や柴田先輩から教わった極意一刀両断も磨きがかかり、それらをうまく使い分け100%撃退、俺が戻ってくる頃には男たちは後ろ姿しか見えない。
「大丈夫?」
「うん♡」
まあ子供ができてから、ほとんど3人一緒だから、そういう奴らいるようなところは1人では出かけることはないけど。
それでも、時々、子供を恵ちゃんと洋子さんにお願いして2人でデートするけれど、相変わらず2人はラブラブ。
純は「かっちゃん♡」と言って独身時代以上に、周りを気にせず俺の腕にぴったり絡んでくるし、もちろん俺も思いっきり腰を抱いたりして・・・・・・。
普通のカップルがやっていたら引いてしまうくらいにべったり、本当のバカップル?。
今思うと……
普通の俺がこんなトップカーストの女子と付き合うには色々大変なことがありました。
これからもずーっとそういうことが続くでしょう。
だから俺は・・・・・・
一生純を守り続ける。そう決心した。
END
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「一生じゃダメ、死んで魂になってもずーっと守ってね♡」
「もちろん♡」
おしまい♡
普通の俺がトップカーストの女子と付き合うには色々大変なことがありました。だから・・ 高梨克則 @takakatsu
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