第180話よかったね



 よかったね

 よかったね


 2人タクシーで空港へ、父親軍団を空港出発口で送った後に到着、そのまま武村母弟が到着するのを待っているところへ。

 2人がゲートから出てくると、武村と恵ちゃんが、ニコニコ話ながら迎えるためにそっちに向かって歩いて行く。

 ゲートから出てくる2人を見ながら

「ねえ、純ちゃん、あの男の子?」

「そう、いっちゃんの弟の次郎君よ」

「えっ? なんか全然似てない」

「そう?でもよ~く見ると、似てると思うわよ」

「うそ、武村君と?」

「そうよ、ご両親が離婚して、次郎君がお母さんと出て行ってから、いっちゃんはあんな風になったの、それと武村建設で工事現場でのバイトの影響もあると思うけどね、よーく見て!? いっちゃんをおとなしそうにさせて、静かでやさしい感じにしていくでしょ、体つきももっと細くして、背丈も小さくしていくと・・・・・・」

「ほんと、言われてみると、似てるかも、並んだら兄弟に見えてくる、でも弟君のほうがカッコイイ・・・・・・」

 洋子さんは目を細めながら、ニッコリ、純の腕をつっついて、

「彼、今何してるの?」

「今はお母さんと一緒に暮らして、東京公立大学の3年で建築の勉強して、卒業後に武村建設にくるって。」

「ふ~ん、そう、へ~」

「えっ?どうしたの?」

「なんか、いいかも♡」

「えっ?」

「彼、両親が離婚してから、お母さんと2人暮らしだったんでしょ? それでちゃんと大学で建築の勉強して、兄と同じ会社に就職って、聞いただけで、まじめでしっかりしていそうだし、やさしいんでしょ?・・・・・・雰囲気も・・・・・・ねっ?」

「そうよ、次郎君もいっちゃんとおんなじ、まじめで相手への思いやりのあるとっても良い子よ」

「やっぱり」

「でも、ほらご両親が離婚しているから、お母さんは自分が守るって意識が強いから……」

「うん、それはお義母さんとお話して仲良くなってみれば、どんな感じかわかると思う」

「あのね」

「大丈夫、純ちゃんだって知ってるでしょ、私は真剣よ、付き合うってことは純ちゃんとかっちゃんとおんなじ、将来を考えて真剣に付き合いたいの、だから安心して」

「わかったわ」

「ねえ、純ちゃんから紹介してもらえない?」

「うん、でもその前にいっちゃんにも話した方が良いんじゃない?いっちゃんはあの2人には絶対幸せになってほしいって思っているから」

「うん、でも、最初は次郎君がどういう人なのか確かめてからにして良い?もし違ったら武村君にも皆にも失礼じゃない、それに次郎君も私を気に入ってくれるかわからないし、ちゃんとお付き合いすることになったら武村君にもちゃんと話すから」

「そうね、その方が良いかもね、わかった,次郎君に紹介するね」

「うん、ありがとう」

 ////////////////// 

 2人を空港で迎えた後、そのままホテルにもどり、武村の母さんと次郎君が荷物を部屋においてくるのをロビーで待ってる。

 洋子さんが、「ねえねえ 純ちゃん、お願いね」

「うん」

 それを聞いた武村が

「何話してるんだ?」

「おにいさんには、なーいしょ」

「おにいさんって、なんだそれ?」

「いいじゃない、おにいさん♡」

 次郎君とお母さんがエレベーターで降りて俺達に向かって。

「兄さん、純さんお待たせ」

「おお」

 武村のお母さんが、

「純ちゃん、克己さん、おめでとう」

「ありがとうございます」

「克己さんははじめましてね、純ちゃんをよろしくね」

「はい」

 次郎君が

「純さん、結婚おめでとうございます」

「次郎君ありがとう」

「克己さん、はじめまして、ご結婚おめでとうございます」

「はじめまして、わざわざ来てくれてありがとう」

「いえ、いつも兄がお世話になっております」

「いやいや、こちらこそ、武村にはたくさん借りがあってね、感謝してるんだ」

「おう、こいつらにはたくさん貸しがあるんだよ」

 そんな話をしているところに純と洋子さんが、

「次郎君、紹介するわね、私たちの高校からの友達で竹下さん」

「はじめまして、純ちゃんの親友の竹下洋子です」

「はじめまして、市井次郎です」

「次郎君って武村君の弟君よね?」

「はい」

「お母さんと2人で暮らしているの?」

「はい」

「次郎君えらいのね」

「いえ、そんなことないです」

 洋子さんが積極的に次郎君に話しかけ、次郎君はそれに答えている。

 2人が話をしているのを見て、母親が純に、

「純ちゃん、あの竹下さんってどんな人?」

 やはり洋子さんの見た目が気になって、真面目を絵に描いた性格で、ずーっと母親を支えてきた次郎君のことが心配なんだろう。

「竹下さんって見た目はちょっと派手ですけど、中身はすっごく真面目でしっかりしてるんです。

 1人の人を真剣に思って、尽くすタイプなんで、大丈夫ですよ」

「そうなの?竹下さんって純ちゃんの親友なの?」

「私、最初、親友ってどんな友達のことかわからなかったんですけど、今一番信頼できる友達で私も何度も助けられました、だから間違いなく親友だと思ってます。」

「そう、それで竹下さんは純ちゃんのこと親友って言ってるのね、竹下さんも純ちゃんのことをそう思っているってことね」

「はい、そうです、本当に彼女は真面目で一途な人ですし、とても信用できる人ですから、次郎君のことは真剣に考えてますので、紹介したんです。

 不誠実なことはしませんから心配しなくても大丈夫だと思います」

「わかったわ、次郎もあれからずーっと私と2人暮らしで、私たちの生活と大学で精いっぱいで、そういう経験がないみたいだから、ちょっと心配になったんだけど、純ちゃんがそう言うなら、2人の行く末を見守ることにするわ」

「ありがとうございます」

 純と武村の(次郎君の)お母さんの間でこのような話がされていたことは次郎君も洋子さんも、ずーっとあとになってから知ったことだった。

 見た目は派手だけど根は真面目で一途な洋子さん、見た目だけじゃなく根も真面目な次郎君、気があえば・・・・・・




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