第6話 ちょいボケ姑と嫁

夜の食卓。

長男はバイトに出かけ、テストの近い次男も食べ終わると自室に引き上げた。三男からは「遅くなる」のメール。

夫が帰宅するのにも、あと30分くらいはあるだろうと思われる。


缶の炭酸入りアルコール飲料をおいしそうに呑み、今日は少し遠くのスーパーまで車を走らせて購入した鮎をつつきながら、テレビを見ていた姑がふと呟いた。

「あ、この人…知っとる。なんて言ったっけ….?」

嫁「ん…? ○ ひ△し(某有名俳優)の事?」

姑「そうそう、○さん。」

嫁「…?」(○さん⁉︎ 俳優をさん付け⁉︎)

姑「この人、前は隣町のヨムカク自動車学校の近くにおったやろ」

嫁「え?○ ひ△しが?隣町に?」

姑「うん。しばらく暮らしとったよ。」

嫁「へ…え… ○ ひ△しがね〜」

(ないでしょ〜。こんな地味な県の田舎町に○ ひ△しはこないって〜)

姑「うん。○さんなんて名前、珍しいでね。見た事ある人やと思ったわ。詩吟を習いにきとったよ。」

嫁「え?婆ちゃん、舘ひろしと一緒に詩吟習っとったの⁈」

(この婆さん、長い間詩吟やってたからなぁ…)

姑「うん。なんかね、やらなあかんようになって、いっとき来とったみたいやね。」

嫁「へ…え〜…凄いね〜。婆ちゃん、○ ひ△しと一緒に詩吟やってたんだぁ」

姑「うん…気さくないい人やったよ…」

嫁「そっか…」



まあ、誰にも迷惑かけない勘違い(?)だから、そういう事にしとこう!


いや、あの俳優は隣の県の出身だから…ひょっとして…


…ないよね…

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我が家の今日の会話 @yadatamared8304

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