森のブランコ

　鬱蒼とした森にあるブランコで、僕はうな垂れていた。
　幼馴染のあいつと、仲違いしてしまったのだ。
　すると、うな垂れてブランコに揺られている僕の前に、一人の老人が現れる。
　何処かで見たことのある老人だった。
　老人は、小さい頃から僕らのことを知っていると言った。
　そして、あいつと仲違いしたことも。
　一時の感情に任せて仲違いしてしまうのが良くないことだなんて、言われなくてもわかっている。
　取り返しのつかないことになってから、後悔しても遅いってことだって。
　老人は真剣で淋しげな目で僕を見て、あいまいに笑った。

「ひとつ昔話をしましょうか」

　そう言って、老人は話し始めた。
　森のブランコが大好きだった、幼馴染二人の話を。

　鬱蒼とした森の奥にひっそりとある『森のブランコ』でのちょっと不思議な話をお楽しみください。