山手線内側・東京内戦 〜愛理〜

六番部隊副長、愛理の政府軍時代の話。





 今日もわたしは死ななかった。


 田舎での私は酷い虐待を受けていて、内股とか谷間とか目立たないところに痕を付けるから誰にも気付かれなくて。

 同級生はいつの日からか、私を指差して笑うようになった。


 気付いたなら助けてくれたらよかったのに。


 東京入りしたのは、田舎の子ども相談所に駆け込んだ日の三日後。窓口で「もう大丈夫ですよ、安心してください」と丁寧に頭を下げてくれた女性職員は、私の後に来た迷子の児童に「大丈夫よ、安心して」と囁いて頭を撫でてやっていた。

 今思えばあのときから既に私は[対象者]だったのだろう。私とあの子の違い、保護者の元へ帰れるかどうか。


 ああ、そっか。


 私は十五歳だから、ここに来たのが間違いだったのかもしれない。

 子どもでも迷子でもない私はその後、東京、戦場の街に送られた。



 勉強はできる方だった、その中でも理数は特に。だから座学は問題なかったし、一人でこっそりダンスの練習をしていたから、身体的にも問題はなかった。

 痛み止めなしの開腹手術はさすがに苦しくて死ぬかと思ったけど、わたしは死ななかった。

 模擬戦と言われて連れて行かれた場所で、黒服をきた少年少女たちが殺し合っていた。

 短刀や槍、包丁や石刀を振り回している者もいる。


「この中で一人だけ、生きて帰れるんだ。君だったらどんな武器を使う?」


 座学で見た資料の武器名を頭に思い浮かべ、私は即答した。


「手榴弾」


 次の日、今度は麻酔を使った手術をしてもらえて、無制限という戦場における最強ランクの能力を手に入れた。

 ただし前線に出るときは、我々の監視がいる。と、頭の禿げたような年配の男たちに言われた。


 自分が強いとは思わなかった。上にはうえがいるし、私はそんなに、頭がいいわけじゃない。


「オマエ、やる気ないだけだろ?」


 黒服の中では最強の部類に入ると言われている、女の子が言った。私より二つ年下の、端正な顔立ちの女の子。喋り方も服装も男の子みたいで、本人から聞くまで性別を間違えていた。


「まぁ、僕も、ヤル気があるわけじゃないけど」


 私と出会ってから一年もしないうちに、その子は前線という場所に行った。[執行人]という役と階級を与えられ、今より多少は自由に動けるとのこと。

 私が[執行人養成所]を追い出されたのは、その三日後だった。そこで殺されることなく中央基地に戻れたのは、誰かの情けだったらしい。

 顔が可愛くなかったら殺されていたと。

 世の中はどこも理不尽だなと思って、田舎にいた頃のことを思い出した。

 毎月第一と第三水曜日、資源ごみの日。中学校の向かい側に住む家庭の母親が、午前七時半に雑誌を捨てに来る。

 その中にあった一冊、愛らしい女の子が表紙を飾っているがそれは本物じゃない。二次元の女の子、つまりイラストが描かれていた。

 こそこそとゴミをあさり、目的の雑誌を取り出して走って逃げる。公園のベンチで雑誌を眺めるていると、フリフリピンクの衣装をきて同じ色の愛らしいキャスケット帽を被った女の子のイラストが目についた。

 現実では出来そうもない綺麗な赤髪を、頭の上部で二つに結んでいる。

[アイドル]と、その子の職業欄に書かれていた。


「アイドル……」


 小さく呟いた私の格好は骸骨がボロキレを纏っただけのような見窄らしいもので、口の中が熱くなって頭が痛くて、雑誌を投げ捨てて家に帰った。

 帰宅してまた殴られて、痛みを堪えようと楽しいことを考えようとした。


「……アイドル」


 楽しくも何ともないのに、さっきの女の子の姿が脳裏に浮かんで。

 それ以降ずっと、東京に来てからも、あのイラストの女の子が頭から離れない。





 中央基地は執行人養成所よりも殺伐としていた。

 馴れ馴れしく話しかけてくる女の子もいない。起床時間に黙々と起きて食事をして訓練を受けて、また食事して入浴して就寝。

 水分補給はこまめに、常に周囲の大気、物質に注意を払え、訓練中に体が弾けて死ぬ人間はよくいた。心臓が足元に飛んできたときは、気持ち悪いとさえ思った。

 なんでこれ動いてんの? 気持ち悪い。


 そして思った。

 なんでみんな、こんなにヘタクソなの? そういえば、私と入れ違いで養成所に入ってきた黒髪の女の子、絶対美少女と渾名がついたあの子は、初日から見事な融合生成を見せてくれた。


 

[上層部]とかいうおじさん達の言葉を理解したのは、中央基地に帰ってきて一週間経った日の事だった。

 いつものように夕食をとっていたその会場の出入り口に、軍服をきた女性が立っていた。黒で統一された政府軍の戦闘服を、ピチッと丁寧に着こなした上品な女性。肩のところで切り揃えたボブの黒髪は艶があって、私達下っ端と別の存在ということは明白だった。

 彼女と目があった途端、言い知れぬ不安を覚えてコップを手に取った。


「あ、ごめんね」


 そう言ったのは、夕食時にいつも隣の席になる女の子。細長い顔にベリーショートがよく似合う。目の大きい可愛らしい子。

 謝罪の理由は、手が触れたことだった。

 私の手と彼女の手が同時に、水の入った一つのコップを掴んでいた。


「ごめんなさい」


 すっと手を引き、そして気が付いた。

 水じゃない……。


「いつも隣の席になるね」

「え? あ、はい」

「あなた、一回出て行って帰ってきたよね? 私知ってるの、おかえり」


 そう言って微笑んだ彼女が、コップを唇に当てた。

「ダメ!」と、そういえばよかった。いや、おそらく、その言葉を口にしていたら、次は私が殺されていただろう。

 何も言わなくてよかった。

 ジレンマが交差する。

 人の心を持った者を人間と定義するのなら、この時の私は確かに、人間ではなかった。


「ねぇ、君さぁ……家庭用洗剤によくある『混ぜるな危険』て、どうして危険なのか知ってる?」


 向かい側の席に座る、眼鏡をかけた男の子が隣の席の人に言った。小さな声で、相手にしか聞こえなかっただろう声量だけど私は確かに、彼の声を聞いた。

 次の瞬間、隣の彼女が口元を押さえて倒れ込んだ。ガッシャンと、テーブルに顔をつき、何かを呻いているようだが、声は聞き取れなかった。


「……〜 ……」


 なんだろう、声が聞き取れない。

 おかしいな、無音だ。

 すっと、彼女の手が私に伸びた。

 涎のついたベトベトの手。

 何をしようとして……何を、私に求めているの?


「汚いっ!」


 言葉にしてから、ハッと気がついた。

 今の声は私の言葉で、目の前の彼女は口元を押さえて蹲った。


「一週間ぶりだ」と、誰かが呟いた。カチカチと、箸が茶碗に当たる音。ようやく元に戻った聴覚で聞こえたのは、「さようなら」という女性の声だった。

 顔を上げると、出入り口にいた黒髪の女性が私のすぐ側に立っていて、倒れた彼女を抱えて食堂を出て行った。

 淡々と、誰かと視線を交わすわけでもなく。


 カチャカチャと食器の擦れる音。

 私はようやく、ここが東京の街だということを理解した。

 役立たずが、必要のない人間が殺される街。

 それがこの東京内戦、政府軍中央基地。


 前線に行ったのはその一年後だった。

 あの日を境にたくさんの人が死んだ。訓練で事故死する者、手術に行ったきり帰ってこ来なかった者、食事中に嘔吐する者。

 同じ食卓でなければ、騒ぎも気にならなくなっていた。

 後にも先にも、話しかけてくれたのはあの子だけだった。





 初陣での私は役立たずだった。

 やらないと、やらないと、殺らないと!

 帰った時に、私が殺される。

 ご飯を……美味しいご飯を食べたいの。

 あの日以来、水が飲めなくなった。食事の後でこっそり川の水を飲んだ。食事中に時々あの[監視者]の女性と目があって、慌てて、恐る恐る、水を喉に流し込んだ。

 わたしは死ななかった。

 そして今、敵対する反乱軍の領土にいる。


「だからそれ、型が違うって」


 銃で撃たれた。

 見たこともない、綺麗な白銃。

 弾は個体ではなく気体の、空気の弾。

 ラベンダーの香りが鼻で弾けた。


「あと弾は麻酔の類を……あれ、いまお前、なに装着してた? もしかして匂い弾入れてないよな?」

「六発撃てる中の一つはラベンダーの香りですね」

「なんでそんなの入れてんだよ」

「ロシアンルーレットです」

「変な映画見るなよ」


 口論しながらも、白銃を握る女性に丁寧にその使い方を教える白羽織の男。背が高く、澄んだ空のような綺麗な声。スタイルのよい彼が着る白羽織の背中には、『NT』反乱軍北域部隊の印。

 首元には反乱軍の所属を示すシルバーのネームプレートが二つ。

 私の意識があることに気付いていなかったのか、彼らは私の生死を確認せずその場を去った。


「……違う」


 彼はわかっていた。

 北域部隊隊長、山手線外側戦闘区域のリーダー、無制限の……。その肩書きを持つあの男は、私が生きていることに気が付いていた。

 ちらっと向けられた視線、わざとらしく顔を背けたあとの遠ざかる背中、カツカツと鳴る足音。


 アイツ化け物だからさぁ、足音変えれるんだよ。

 普段は鳴らない、アイツが足音を鳴らす時は何か、意味がある時だ。


 執行人の役割を与えられた、少年のような容姿をした女の子が私に教えてくれたこと。

 ケラケラと笑いながら、『だから、アイツの足音が聴こえたならオマエ生きれるよ、生きろ伸びろ』と。


 随分前の話……違う、その話をしてから一ヶ月も経っていない。

 月日の感覚がわからない。

 生きているという感覚が、実感がわからない。

 俯いた私の目には、涙が溢れていた。


 生かされた……私はあの人に、敵だと指定された人物に命を救われた。

 澄んだ空のような、優しい声だった。

 背が高くて格好良くて、声色も穏やかで優しくて……。

 隣に立つ彼女はどうして、普通に会話ができるのだろう。


 どうしてそんなに、楽しそうなの?





 その日の夜、コップの中に水じゃない物が入っていた。

 ニヤニヤと私を見つめる対面席の眼鏡男の視線を交わし、固形物だけ食べて席を立った。幸い、それは、普通のご飯だった。

 わたしは死ななかった。

 今日は、死ななかった。


 意識しなかったわけじゃない。

 

 次は自分だ。


 そう思わなかったわけではない。

 だってあんなに、みんな殺されて、自分が対象外だという確証はない。ここにいる全員がそうだ。

 誰も彼も明日は自分かもしれないという不安に怯えて。

 だけど声をあげたら、「やめて!」と言えば次の標的は自分になる。「助けて!」と怯えれば此処ではない別の場所へ連れて行かれる。

 地獄の、もっと先へ。

「殺したくない!」そう叫べは、自分が殺される。


 ここはそういう街。

 東京山手線内側、偽りの戦場。


 わたしは今日も、死ななかった。

 明日はわからない。





 だから、殺されないために。次の任務で私は人を殺した。

 彼の纏う白羽織は、一瞬で赤く染まった。

 私が憧れた、綺麗な髪を持つ、二次元の赤髪少女と同じ赤。


 返り血で目が霞んで、接近戦は向いてないと瞬時に判断した。破片手榴弾を投げつけると八人が死んで、残り一人はバーナーで焼いた。

 跡形もなくなる白兵の身体からポトっと、陽を浴びて輝く何かが地面に落ちた。

 博物館か何かだった場所のアスファルトの上、銀色長方形のプレート。

 複数の別の声が聞こえ、咄嗟に物陰に隠れた。ストックが空になっていた。炭素が足りない、バーナーは役に立たない。

 音も立てず縮こまった。


 怖い、怖い……怖い?


 怖いと、そう思った。

 殺される、私は殺される。だって殺したもの、彼らの仲間を、私が。

 何故だろう、今まで怖いなんて思ったことなかったのに。

 その瞬間、恐怖を感じて身体を硬らせた。

 

「斗亜が来たのか?」

「いや、それにしちゃぁ……接近戦でナイフ使うなんて、あいつはやらないだろ。とにかくプレート拾って帰るぞ。遺体焼いとかねーと」


 簡単な、残酷なやり取りをしたあと、ボッと音がして、そのあと足音が遠ざかった。

 しばらくして外に出ると、あたり一面が焼け焦げていた。


 死体はなくなっていた、消えて、焼けてなくなっていた。

 地面に落ちていた銀色のプレートも、やはりその場に残っていなかった。


 わたしは泣いた。

 彼らのために、私が殺した人たちのために。

 ごめんなさいは言わなかった。

 だって、そうしないと、私が……


『おかえり』


 そう言って死んだ彼女は。

 食堂でいつも隣にいた彼女は、もういない。


「うぁ、ああああああぁ!」


 大声を張り上げて泣いた。

 見つかったらどうしようとか、そんなことは思わなかった。

 ただひたすら泣いた。

 だって私は悲しいから。

 彼女がいなくなったことが、人を殺したことが、死んだ人にはもう二度と、会えないことが。

 死んだ彼らのために、泣かない彼らの仲間の代わりに、私が泣いてあげた。


 だから、どうして。

 何故彼らは、涙の一つも流さなかったのか。

 それがとても、不思議だった。





「アイリ、反旗を翻さないか」


 執行人養成所をいち早く卒業した、あの女の子が言った。

 端正な顔立ちはさらに整い、美少年のような女の子。あの頃から大きかった胸は、布を巻いて潰しているらしい。


「オマエはたぶん、僕ら側の人間だ」


 そう言って彼女は駆け出した、数人の仲間を連れて。

 上層部に歯向かって、この戦場を終わらせようと。


「戦場の街を、抜け出せる?」


 東京内戦が終わる? 偽りの戦場が……そうしたらこの街はどうなるの?

 答えはわからなかった。

 考えれば考えるほど、手が震えた。


「美味しいご飯を食べたい。お水が、飲みたい」


 普通に飲める水が、何も考えず安心して口をつけれる水道水が。

 匂いを嗅ぎながら、成分を分析しながら食べないといけない食事が嫌だった。


 行こう。


 気が付けば駆け出していた。

 わたしはやっぱり、今日も死ななかった。





 終戦から三ヶ月弱、元反乱軍の北基地に呼び出された。

 その頃には『自由』が何であるかも理解することができて、憧れのイラストの子を真似て髪を赤色にした。

 綿あめみたいなシュシュを買って、ラメのネイルを塗って、お化粧もして。

 新東京の知事だというおじさんに、「可愛くしているね」と褒めてもらえた。彼の目線はキラキラ光る爪にあったので、髪のことではないだろう。

「東京内戦とは何だったのか」という私の問いに、彼は背もたれに身を預け目を閉じたまま答えた。


「私も雇われだったからね。これからは少しでもマシになるといいのだが……死というものはやはり、自分だろうが他人だろうがそれは、怖いものだからね」


 答えになってないと思った。





 八部隊五編制とかいう、上位ランクの人間兵器アテンダーを集めた組織が結成されるという。

 五番、銃火器を得意とする部隊の副長欄に私の名前があって、指定された日時に指定された場所に来いとの書面を受け取った。

 当日、会議室に入ると指定された場所に座るよう促され、私のすぐ後に仲の良い……いや、犬猿の仲のような男女が部屋に入ってきた。

 女性のほうは見覚えがあった。白銃の使い手の、戦場で北域隊長と話をしていた子。

 そして男のほうは忘れるわけがない、あのときの声だ。私が最初に人を殺した日、ネームプレートを拾いにきた男。

 仲間の死体を焼き払った、血も涙も知らない反乱軍の人間兵器アテンダー

 今回の作戦の総司令になるという人に「互いに自己紹介しろ」と言われたが、真面目にやらなかったし真面目に聞かなかった。男は怪訝な顔をしたが、特に追求されることなく、私は爪を眺めていた。

 春になったら、黄色のパステルカラーを塗ろう。





 次の日、「部内交流するんだとよ」と言って、その男が私の隣に腰掛けてきた。

 新幹線の中、シートをひっくり返して対面六列と通路向かいに四列、その前に同じ六番部隊の隊士が二人。


「まず自己紹介するか」と面倒そうに語る男が名前を言った。


 忘れない、絶対に忘れない。

 こいつの名前、死んでも覚えておいてやる、その顔も。

 私の憎悪を気にすることなく、「つぎお前、副長」と彼は私を指名した。

 なんでこんな、血も涙も持ってない奴がリーダーなの? 無理よ……

 黙っていると、男が私の頭のシュシュを触った。


「お前、この髪すげー、綺麗だな」


 思わず、顔を上げてしまった。

「なに?」というように、キョトンと首を傾げる男。他の隊士たちも唖然と私たちを見ている。

 注目の的である彼だけが、「俺なにかしましたっけ?」というように、不思議そうに私を見つめていた。


「髪の色は、地毛です」


 嘘をついた。

 彼が盛大に吹き出した。


「おっまえ、マジか! すげーな、国籍どこだよ!」

「日本です」

「こんな髪の毛になるやついんの? ハーフ?」


 狼狽る対面の隊士を他所に、彼は私の髪を褒め称える。


「二次元みたいに綺麗な色、アイドルみたいだ」と。

「嘘です」と告白すると、「嘘かよ!」と、お笑い芸人みたいなリアクションを見せてくれて、周りの隊士たちが吹き出した。

 だから、わたしも笑った。


「そういや、女って紅茶好きだろ?」


 なんだその固定概念、とは思ったが、アイドルたる者、私は「はい」と答えておいた。

 彼は掛け鞄から黄色の液体が入ったペットボトルを、私に差し出す。


「紅茶にレモン入れたものらしい。女ってこういうの好きだろ? お前にやる」


 わざわざ買ってきてくれたの? と思ったがどうやら違う、『間違えたから』と誰かに押し付けられたらしい。


「長旅だからな、飲んどけよ」

「……いただきます」


 初めて、この街にきて初めてその言葉を使った。あ、いや今は新幹線の中だから東京じゃないけど……。

 初めて、「いただきます」と言えた。

 キャップを開けると鼻かなレモンの匂い。


「今飲むのかよ、早ぇな」と笑う彼を無視して、ペットボトルに口をつけた。


 東京内戦は終わった。

 くだらない、人間兵器を強化するという名目のもとで死の恐怖に怯えていた私たち。


『今度は本物の戦争が始まる』


 そう、誰かが言った。

 その時、私が所属する部隊の隊長である彼はきっと、私が死んでも涙を流さないだろう。

 死体は焼かれるのだろうか、首からぶら下げた黒のネックレス、ネームプレート一枚に私はなってしまうのだろうか。

 それは少し悲しい。

 だけど今日のことは、喉に流れ込んだ途端広がった人工甘味料の味は一生、忘れないと思う。


 今日もわたしは、生きてます。

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