時計の針とアンセム

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「あ、指輪はまず横に置いといて。お菓子と間違ってたべちゃうとあぶない」

「ううん。着ける」

「つけられる？」

「なみだでゆびがみえないいい」

「ほら。貸して。左手だして」

「うん」

「はい。サイズもぴったり。これでいい？」

「いい。最高、です。ありがとう」

「わたしも、最高。ほら。涙を吹いて。そんなに泣いたら画面が見えないわよ」

「うん」

「あっ、え」

「あ」

「え、うそ、いきなりそこでペナルティ取るの」

「今年は波乱がありそうだね」

「いきなりの良い位置よ。これは、試合が、動くわね。まちがいない」

「でもこの角度だと見えにくいかも」

「いやでも開始からまだぜんぜん経ってないし、クリティカルタイムでの得点はやばいわよ」

「わくわくしてきたね」

「うん」

「入るかな。楽しみだなあ」