この作品を読むと読んだ方の夏休みの日々が甦ります。
それは読む人によって異なると思います。
しかし、読まれた方はそれぞれの夏休みの日々が思い起こされる筈です。
私は家の2階から見た打ち上げ花火が真っ先に思い浮かびました。
夜空を彩る鮮やかな色彩。少し遅れて聞こえる力強い打ち上げの音。
これを単なるノスタルジーにしてはいけないとも思います。
私達は確かにあの夏の日を体験した。
それは私達の貴重な記憶であり、大人になっても忘れてはいけない事だと思います。
作者の方はお若い方のようですが、文章力も構成力もしっかりとしています。
今後のこの方の作品には注目していきたいと思います。
今年の夏、皆さまは、その記憶の中に、素敵な思い出をお持ちだろうか?
世界中を席巻した未知のウイルスに脅かされ、それどころではなかったことだと思います。
本来なら、ここで綴られた、ゆっくりとした時間が流れていたはず。
都会の喧騒から外れて、故郷ののんびりした世界を味わっていたはず。
それらが叶わなかった皆さまに贈ります。
セミの声が響く暑いひと時、そこにある情景は、確かにいつもの日常からはかけ離れていて……。まるで、そこだけが別世界のように感じられる。
来年こそは、体験したいという願いを込めて、今だけ、この綺麗な世界に沈んでみませんか?
せつなさと寂しさを感じるかもしれないけれど、きっと、こころは満たされるのではないかな……。