すがすがしいくらいのアンチヒロインは一読の価値ありです

 聖女物はたくさんありますが、ここまですがすがしいくらい他人の気持ちや、事情に鈍感というか、全く配慮できない(多分能力としてない)、そのくせ、本人は相手のことを思って、相手のために尽くしていると信じている聖女の物語は初めてです。
 そもそも自分が選ばれたのに、主人公のエレノアに頼み込んで最低神の聖女を代わらせて自分はちゃっかり最高神の聖女に収まって、何の良心の呵責もない。挙句の果てに、主人公の婚約者のところに頼まれてもいないのに出かけて、破談にしてしまう。ハッキリ言って、迷惑どころか、消えてほしいくらいのことをしても、私は相手の為を思ってやっていると信じている。ここまでくればサイコパスにしか見えません。
 読者は、このアマルダに相当ないら立ち・不快感を覚えると思いますが、ここまでのアンチヒロインを生み出した作者の筆力に脱帽です。
 もちろん、主人公のエレノアさんが幸せになることを期待して読んでますが、ある意味アンチヒロインアマルダを追っかけているのも事実です。