十夜火姫の歌
その年、里にはついに雪が降らず、次の初夏はあらゆる作物が芽を出さず、わずかに芽吹いたものもひどい成長不良になったため、里の者は口々に様々なことを言った。
――あのクイがついに白の
――クイは里長の一族を恨んでいて、
――白の
仕方がない。
そうして次に
不作、日照り、洪水、虫害、山火事、地震、疫病、あらゆる『悪いこと』が起こるたび、里は子どもを送り出す。
そして、誰も帰ってはこない。
何年か後、
里のはずれの岩地で、岩でできた大きな黒とかげに乗る女の人を見た、と。
それは、
――それはきっと、火の神、
里の古老はそう言って、少し渋い顔をした。
あの辺りは以前、
そうなれば、朱の
神の恵みが不足しているのだから、それも、仕方がない。
それに最近、このあたりではやけに地震が多くなってきた。
子どもたちが話の続きをねだる。
古老は微笑みを作り、言葉を
この世の新しい火はすべて、
火の化身である彼女は
――火よ、熱よ、輝いて地に隠れよ。時に
〈了〉
十夜火姫の歌 鍋島小骨 @alphecca_
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