勇者SS「魔王倒して、帰って来た。」
葵流星
「魔王倒して、帰って来た。」
勇者「暇だ…。」
魔王を倒して、早3か月…。
別に、王女との結婚とかもなく、祝賀会を終え、世界は平和になった。
魔物に襲われて、壊れた実家を建て直し、お金は銀行に預け、パーティを解散し、王から貰った多額のお金も山分けしたので、特に後腐れもなかった。
勇者「彼女が欲しい…。」
かつての村のようにとはいかないが、南北東西に3つの壁を用意し、水堀も空堀も作った。
今では、町と呼べるくらいに大きな教会を中心に、町が広がっていっている。
納税とかの必要もないので、でかい屋敷でも作ろうかなとは思う。
それか、小さな金貨を集めるおっさんみたいにメイドを侍らせるのも…。
勇者「教会にでも行くか…。」
暇すぎると、一日が退屈のまま終わってしまうので教会に行くことにした。
襲撃時に、匿ってもらった教会であり、神父はその時、殺されたが今は神殿から神父が派遣されている。
勇者「こんにちは。」
修道女「いらっしゃい…あらっ、勇者様。」
勇者「神父さんは?」
修道女「居ますよ。」
神父「汝、教会に何の用か?」
勇者「冒険の書に書き込んでお祈り。」
神父「…汝に神のご加護があらんこと…。ところで、勇者よ。」
勇者「はい?」
神父「職業がNEETっになっておるぞ。」
勇者「ニート?勇者なのに?」
神父「勇者の職業が失われ、代わりに若いのに働かないニートになってしまった。」
勇者「…なにそれ、知らない。」
神父「面倒だが、神殿に向かい職業を選ぶといい。働かなくても構わない。あくまで、職業登録だから。」
勇者「…勇者じゃなかったら、俺は誰だよ?」
神父「ニトリ村のオオツカの息子のイケアだ。」
イケア「…遊び人になるか。」
イケア「ルーラ!」
賢者「おわっ!勇者かよ。」
イケア「久しぶり、元気にしてた賢者氏?」
賢者「あの頃が懐かしいばかりだ…それより、結婚しないのか?」
イケア「あと2か月くらい、ヤゴナでダンス見たり、キョウトウでカジノしたり、バーで酒飲んだり、レクの店で水遊びしたい。」
賢者「三か月間、遊び惚けていたな。」
イケア「ああ、そのせいでNEETになってしまった。そんなわけで、遊び人に転職したい。」
賢者「封印石でぶん殴るぞ。」
賢者は、かつて魔法戦士だったが、転職して賢者になった。
パーティで男同士仲良くはしていた。
ちなみに、酒飲むたびに魔法戦士に転職していた。
イケア「久しぶりに、酒を飲みながら話さないか?」
賢者「ダメだ。」
イケア「…マジかよ。」
賢者「ところで、最近パーティのメンバーと話したか?」
イケア「誰とも話してない。」
賢者「はぁ…たまには、会いに来いよ。呪文で来れるだろ?」
イケア「お前だって、会いに来ないじゃん!」
賢者「来てほしいの!」
イケア「手紙でいいだろ…3通くらい書いてるけど、1通は届くだろ?」
賢者「わかってないな…ところで、魔法使いとはどうなのよ?」
イケア「何が?」
賢者「恋愛…好きだったんじゃないのか?」
イケア「俺は、仲間のことは全員好きだぞ?」
賢者「お前って、やつは…。」
イケア「それより、お前は僧侶さんとはどうなんだ?」
賢者「仲良くしてるよ。」
イケア「結婚式には、必ず行くよ。」
賢者「おいっ!…はぁ…それよりも、お前と魔法使いの結婚式をだな…。」
イケア「いやっ、俺は別の女性を探すよ。」
イケア「…くっ。」
賢者が俺の腹部を殴って来た…。
魔法戦士の時のステータスもあり、パワーが普通の賢者に比べて高くなっている。
賢者「そこまで、落ちぶれたか?」
イケア「何がだよ!」
賢者「魔法使いはお前のことが好きだったんだぞ!」
イケア「だから、どうした!」
賢者「くっ…。」
イケア「パーティのメンバーと必ず結婚するのか?そんなことないだろ、俺が好きになった人と結婚して何が悪いんだ!」
賢者「こんのぉ…分からず屋がぁ!」
賢者と素手で殴り合う…。
ああ、懐かしいな…。
神殿の階段の前で殴り合う俺達を他の賢者や学者は不思議そうに眺めていた。
俺は、魔法使いと結婚したくない…。
彼女を探したい。
勇者になるのは、両親と祖父母と妹と弟の復讐を果たすためで、仲間とはビジネスライクな関係だった。
だから、本当はそうでもなかった…。
イケア「…痛いな。」
賢者「治してやらん。」
イケア「…ベホイm(ry]
賢者「そうはさせん…ベホマ。」
イケア「結婚、おめでとう…もう披露宴には呼んでくれないな。」
賢者「気が早いぞ…。」
イケア「じゃあ、転職させてくれ…。」
賢者「わかった…。あっ…しまった…NEETは司祭でないと転職できない。」
イケア「…じゃあ、村人にもなれないと?」
賢者「そうだ。」
イケア「よしっ、じゃあ行くか!」
賢者「夜だぞ…。」
イケア「夜でも、行くんだよ!」
賢者「仕方がない…うちに泊まってから、明日出直せ…。」
イケア「えぇ…ルーr(ry」
賢者「お前…話、聞いてたか?」
イケア「いやっ、MP余ってるし…。」
賢者「行くぞ…。」
勇者イケアは、賢者に連れて行かれた。
僧侶「お帰りなさい…。」
賢者「ただいま…。」
イケア「お久しぶり…。」
僧侶「あなた!勇者さんをなぜ?」
賢者「こいつは、今はNEETだ。」
勇者「遊び人に転職予定だ。」
僧侶「あらあら、勇者さん…勇者はそういった職業にはなれませんよ。」
イケア「なんですと!」
賢者「遊び人、ダンサー、占い師にも転職できない。」
イケア「…なんで、転職できないんだ?」
僧侶「勇者としての品格の為ですよ…。」
イケア「…そっか。」
その夜、食事をして話をした後、帰ろうとしたら、やはり引き留められ、地震を観測しながら、朝を寝坊して迎えた。
イケア「じゃあ、またな。」
賢者「魔法使いに会いに行けよ。」
イケア「ああ、今度行くよ。」
僧侶「今日、行かないと大変なことになるという占いが出ましたよ。」
僧侶さんの職歴は、村娘→ダンサー→占い師→僧侶である。
その為、占いができる。
あとは、白黒魔術ができる。
お化けが怖いので、最近成仏しまくっているらしい。
イケア「じゃあ…行くよ。」
賢者「いつでも見てるからな。」
イケア「使徒倒して来てから、ずっとだろ?」
司祭「勇者…おおっ、NEETになるとは情けない。」
勇者「仕事が無くなったんですが…。」
司祭「おおっ、そうであったな…転職先としておすすめなのは、グリーンベレー、ネイビーシールズ、レッドスターだ。」
勇者「グリーンベレーで…。」
司祭「…しまった。勇者はなれなかった。」
勇者「なんで、勇者になると仕事が無くなるんですか?」
司祭「死亡率がほぼ100%で、剣を抜けるのが1人だからじゃ…。ポルノスターも無理か、仕方がない…勇者よ、とりあえず、武士に転職してしんぜよう。」
勇者「お願いします。」
司祭「武士として生きるとよい。」
武士「…う~ん、戦士でもよかったかな。」
司祭「勇者よ、前の職業の戻るのも良いが、勇者としての勇みを忘れてはならない。武士として、誉を忘れるな。」
武士「浜で、カミムラ海賊団に盗まれました。」
司祭「恥を知れ(#^ω^)」
武士「…帰るか。」
賢者『帰るなよ…。』
武士「…テレパシーはやめてくれよ。」
導師『賢者から聞いたんだけど、魔法使いに会いに行ってね。』
武士「お節介だな…あいつ…。2週間ぶりだけど、元気?」
導師『元気だよ、怪盗も技師も…。』
武士「ルーラ」
導師「…。」
武士「よう…。」
導師「ちょっと、アイデンティティ壊すのやめてもらってもいいですか?」
武士「よく考えたら、魔法使いの居場所わかんないんだわ。」
技師「おっ、坊主…武士になったのか?」
怪盗「むっ、少年じゃんか…お久しぶり…。」
技師と怪盗は、夫婦だった。
タヨトの町で、タヨトカンパニーのタヨト社長に処刑されそうなのを助けた。
名前は、マツダスバルとミツビシコマツだったが、結婚してマツダになり、ハツダイの町で、暮らしている。
導師は、元吟遊詩人で、今はハツダイの町に居たようだ。
導師「魔法使いなら、ジフに居るよ。」
武士「ああ、総本山か。…行きたくないな。」
導師「噂によると、なんか荒んでいるらしいぞ…。」
武士「…なおさら、会いたくない。」
導師「嫁の猟師が言うには、恋の病らしい。」
武士「治るといいな。」
導師「お前のせいだよ。」
武士「…なんで、みんな俺のせいにするんだ。」
導師「お前が魔法使いと結婚しないからだろ!」
武士「うぅ…。」
導師は、猟師の嫁と祝賀会ついでに挙式した。
あ~、思い出した…。
そういや、ブーケトスでブーケ手に入れなかったの悔しがってたな。
導師「だから、早く行け!」
武士「パーティ組まない?」
導師「一人で行け。」
武士「…。」
村民「勇者だ!」
村民B「救世主だ!」
村民C「魔女を止めてくれ。」
村長「勇者よ、魔法使いが魔女になってしまうというギャグで心を病み、城を作ってしまった…。」
武士「わかりました、トドメを刺してきます。」
村長「いやっ、婚約して来てくれ…。」
武士「嫌です…。」
村長「ちょっと何言ってるかわかんない。」
武士「わかれよ…。」
村長「我が娘は、メンヘラじゃったが、ヤンデレが追加して、このままでは後14年後には、三十路になり、魔女で喪女も追加されて、世界を滅ぼしてしまう。」
武士「俺は、勇者です。」
村長「問題になる前に解決してくれ。」
武士「…つまり、結婚しろと?俺に?あんな、ツンデレが消えかけてデレデレの束縛系のギャル魔法使いに?というか、負けヒロインに?」
村長「負けヒロインを助けてくれ…。」
武士「( ^ω^)・・・。」
武士「うぅ…。」
魔法使い「ようやく現れたか、そんな装備でこの私を倒せるのか?男だけ、置いて帰れ!」
武士「よう、じゃあ帰るわ!」
魔法使い「うわああああああああああああ!」
魔法使い「帰らないで!そばに居て!助けて!あの姑が、魔物だった時みたいに!」
武士「据え膳が無いから、帰る!」
魔法使い「私を喰え!」
武士「…魔法使い、いい人が見つかるよ。」
魔法使い「絶対見つからないやつじゃん!」
武士「俺達、仲間だったけど…。」
魔法使い「言うな!」
武士「結婚しないと、ダメ?」
魔法使い「世界を滅ぼす。」
武士「なら、殺す。」
魔法使い「今のプロポーズ?」
武士「許してくれ、君の運命の人は、きxt(ry」
魔法使い「もう…離さない…。」
武士「結婚してくれ…。」
魔法使い「はい!」
武士「…。」
魔法使い「…。」
武士「なあ、本当にこれでよかったのか?」
魔法使い「ハッピーエンドにたどり着くまでが、主人公の役目でしょ?」
武士「そうだったかな…。」
彼女「そう…。」
人生の墓場にて…。
勇者SS「魔王倒して、帰って来た。」 葵流星 @AoiRyusei
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