第109話 商人ギルド
森を抜けて町に着いた。
途中、何日か野宿したり、サイコとリャンゾウが狩りをしたり、ソウタとモモカとジュネが採取したり、町で売る物も追加している。
門番はいるが税などは取られず、自由に出入り出来る町だった。
「素材は何処で買い取って貰うの?」
「う〜ん。何処がいいかなぁ」
モモカの問いに迷うソウタ。
「冒険者ギルド?」
モモカの問いに、
「いいねぇ」
なんだか乗り気のサイコ。
「ダメダメ、サイコが冒険者ギルドに行ったら厄介な事になるに決まってる」
慌てて否定するソウタ。
「え〜、良い稼ぎになるんだけどなぁ。冒険者はすぐに敵対するし………」
「だからダメなんだよ。あ〜、取り敢えず商人ギルドに行って見るか」
「ちぇっ」
(ゲームの中のサイコは言葉が少ない裏ボスで不気味な怖さがあったけど、普通に話をすると怖さが全くないんだよなぁ。いやいや、騙されちゃダメだ。敵即斬の彷徨う裏ボスは油断したら痛い目に合うに決まってる)
場所を街の人に聞きながら、やっと商人ギルドに着いた。道を聞いたのはモモカだけどね。
「じゃ、モモカ頼んだよ」
「はぁ、分かってますよ」
ソウタ達は商人ギルドの建物の中に入り、受付に向かった。
眼鏡が似合う女性の受付だ。
「すいません。素材の買い取りをして欲しいのですが、ここで出来ますか?」
「はい。少々お待ち下さい」
その時、受付の奥から目付きの悪い、肥った中年の男が出て来た。
「あ? 何の買い取りだ。個人の買い取りはギルドではしてないんだよなぁ。ガキはそこらの商店にでも行きな」
「え、個人の買い取りもここで………」
受付のお姉さんが驚いて反論しようとしたが、
「ああ゛! 個人の少額の買い取りなんて手間なんだよ。ここは、商会や大手の団体の仲介や支援をする組織だからなぁ。な! そうだろ!」
受付のお姉さんの声を遮り、受付のお姉さんを睨み大声で有無を言わさぬ男。
「あ、そうですか。ミスリルやオリハルコン、アダマンタイトや効き目の高い回復薬等だったんですけどね〜。何処で買い取りして貰えるんでしょうかね」
モモカはソウタがマジックバッグから出したミスリル、オリハルコン、アダマンタイトのゴーレムの腕と回復薬を受付のカウンターに出しながら男に尋ねる。
「何! 本物か? ゴーレム………」
男はミスリルやオリハルコンを手に取ろうとしたが………。
「いや、此処で買い取りしてないんですよね。別に見て貰わなくても良いです」
モモカはすぐにカウンターの上に出したモノをマジックバッグに仕舞う。
「ちょっと待て、特別に買い取ってやってもいいぞ。どのくらい持ってる? ゴーレムだから腕以外もあるんだろ」
「いやいや、私達は商人ギルドでは売らない事にします。………量は今出した物の何十倍もありますけどね〜」
(モモカも人が悪いなぁ。断られた後に態と見せつけたな)
ソウタは商人ギルドの男に見られない様にニヤリと笑う。
「おい、それならその素材はナリキン商会で買い取らせるから。ナリキン商会に持っていけ」
男は慌ててナリキン商会の地図を出してモモカに渡そうとする。
「それもお断りします」
モモカは男から地図の受け取りを拒否した。
「さあ、此処には用は無いので、他を当たりましょう」
モモカそう言ってソウタ達を促し、ソウタ達は商人ギルドをあとにした。
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