第108話 村長の屋敷で朝食中

ここはエルフの隠れ里。


村長の屋敷に暫く厄介になることにしたソウタ。朝起きて、村長の家で朝食をごちそうになっていた。


「はぁ、昨日は色々あり過ぎたわね」


「そうだな。襲撃から大精霊ガイア登場まで怒涛の勢いだったな」


モモカの言葉返事するソウタ。


「今日はどうするの?」


「近くの町に行って素材を売って来たいな」


「ああ、俺も行くぞ」

「私も行くわ」

サイコとジュネが即座に反応した。


「サイコもゴーレムの素材や魔物の死骸を大量に持ってるから、同行は確定だな」


「おうよ」

「お兄ちゃんが確定なら私も確定ね」


「そうだね」


「俺も行くぞ」


(ブリュンヌも行きたいのかぁ?)


「ブリュンヌはちょっと待って」


「えー、なんでだよ」


「ナナミはどうする?」


「私は採取と薬の調合してるわ。良さそうな薬草も多そうだしね」


「了解だ。だったらブリュンヌはナナミの護衛で残って貰う」


(サイコ1人でも気を遣うのに、ブリュンヌも喧嘩っ早いから、問題起こしそうで不安なんだよなぁ)


「えー、採取なんてかったるいなぁ。ナナミの護衛はジュネでいいじゃん。採取も好きそうだし」


(採取が好きではなくて、ソウタ様の事が好きなのよ。この猫娘は全く配慮が足りないわ。それとも猫娘もソウタ様を狙っているのかしら?)


「はぁ? あんたにお兄ちゃんを止められるの? 斬り殺されたい訳?」


ギクッ。

サイコを恐る恐る盗み見るブリュンヌ。


「何だ、お前はまた敵になったのか?」

大剣を掴むサイコ。


「そうよ。この猫娘は私の敵ね」

ブリュンヌを指を指すジュネ。


「いやいや、敵じゃないって。ねぇ、聖者様!」

焦り始めてソウタに助けを求めるブリュンヌ。


「聖者様と呼ぶのはそろそろ止めてくれないか。そうだなぁ、敵ではないが………。元敵かな?」


「えええええ。明確に否定してください!そ、ソウタ様?」


「おう、呼び名はそれで良いだろう。ナナミの護衛を頼んだよ、ブリュンヌ」


「は、はい」


「サイコ、ブリュンヌは敵じゃないぞ。ナナミの護衛だ」


「ん、そうか」

大剣から手を離したサイコ。


「私が護衛しましょうか?」

とモモカがソウタに提案するが、


「いやいや、モモカは俺に同行だよ。交渉して貰わないと。俺は話すの苦手だし。サイコとジュネも交渉は出来ないだろう」


(サイコに交渉させたら、厄介事になるのは間違いないって)


「そうでしたね。でも警戒は必要でしょ。まだこの里の事も良く分からないし」

ナナミを心配そうに見るモモカ。


「だなぁ」


(後、まだ動向を決めてないのはクロリス、ブルと──)


(ソウタに同行するキュ)


(了解だ)


「リャンゾウは俺と一緒だから、ブルを警戒につけるよ。クロリスはどうする?」


「私は森にいるよぉ」


「了解。じゃ、決定だね。ブリュンヌは何かあったらクロリスに相談してね。エルフは精霊を敬っているようだし。クロリス、ブリュンヌとナナミの事は任せたよ。特にブリュンヌが問題起こさないように見ててね」


「ええええ、俺は大丈夫だよ」


そんな、ソウタ達の会話を心配そうに見ている村長であった。

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