最終話:平穏な日々を求めて。
米や作物の栽培によって食生活が安定し、まだまだ残っている大量の金貨のおかげで生活に困ることもない。
あれから新しいドールは増やしていないが、それでも毎日が楽しい発見の連続で、転生する前と比べたらとても楽しく充実した日々を送れている。
そんな感謝の気持ちを表すために、キーコに社と神様の形を模った菱形のブロックを祀り、収穫した作物をお供えしたりした。
「ご主人さま、それではいきますね」
「いきます~」
「ん」
「精一杯務めさせていただきます」
「微力ながら私の火も加えさせていただきます」
「先輩たち頑張ってくださいですぅ~」
アス子、スイ子さん、キーコ、御影、火子の五人が家をリフォームするために準備をしている。
シャトルは俺と一緒に見学だ。
一体どんな家ができるのか楽しみだ。
「…………いきます!」
アス子のその掛け声とともに家が崩れだし、更地になったと思ったら勢いよく家が生えてきた。
いや、家というよりも屋敷か……?
川の水を利用した堀まで追加されていて、かなり大きい。
建物は三階建てだろうか、白い壁と黒い瓦の屋根だ。
和風テイストな屋敷になっている。
「ふぅ……完成しました。どうでしょうかご主人さま」
アス子が満面の笑みでやりきった顔をしている。
「あ、ああ、凄いよ。でもどうしてこの形に?」
大和国に行った影響かな?
「大和国でご主人さまが懐かしむような顔をされていましたので、それでどうかなと思ったんですけど、ダメだったでしょうか……?」
アス子たちが不安そうな顔になった。
「あ、ううん、そんなことないよ! 気を使ってくれたことが凄く嬉しいし、この建物自体も凄く気に入ったよ!」
その言葉に一切の気を使うことなく本音をぶちまけた。
本当に凄いし嬉しいし気に入った。
「よかったぁ……」
みんな安堵の表情に変わった。
あまりみんなを悲しませるようなことはしたくはないから、言葉には気をつけよう。
みんなどうにも俺の言葉を絶対のものと思っているフシがあるので、言葉を間違えただけで大変なことになりそうな気がしてならない。
「それじゃ~ウチはお布団とかお洋服とかしまってきますねぇ~」
シャトルが大荷物を持って、掘りを飛び越えて屋敷の中に入っていった。
「ご主人さま、これからどうされますか?」
一番最初に作り上げたドールのアス子。
誤差レベルだが、彼女との付き合いが一番長い。
次に水のドールであるスイ子さん。
三番目に木のドールのキーコ。
四番目は石のドールである御影。
五番目は火のドールの火子。
そして六番目にシャトルのドール、シャトル。
みんながいるおかげで、俺はこの世界で不自由なく暮らせている。
そしてそんな力を俺にくれた神様には感謝してもしきれない。
一体あの神様はなんだったんだろう。
まぁ正体がなんであれ、今俺がこうしていられるのは神様のおかげだということに変わりない。
何不自由なく暮らせて、何でもできるような状態だが、あまり出過ぎた真似はしないように気をつける。
この力はこの世界では突出しすぎているし、簡単にバランスを崩壊させられるほどだ。
調子に乗ってこの力を使い続ければ、いずれその反動がやってきて痛い目を見るような気がしている。
漫画やアニメでもそうだ。
だから俺はここで細々と生きていく。
冒険者ギルドについては……またあとで考えよう。
「そうだな、とりあえず新しい家の中でも見てみよっか」
「はい!」
俺たちは新しくできた屋敷に入っていく。
願わくば、この世界で平穏な生活が送れますように。
異世界オートライフ ~クリエイトしたドールたちと楽しい異世界ライフ~ 裏影P @UrakageP
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