ゲーム実況動画を観るように楽しみました

 小説を書くということは、一種の知的なゲームだと思うが、この作品は、その感が強い。
 まず、連作短歌をつくり、そのうえで、5人の評者を想定して、設定した彼らの教養や価値観に基づいた歌評を書かせる。
 そういう作者の知的な遊戯の結果に対して、読み手が、その工夫と苦労を追体験する作品として、私は楽しんだ。
 このレベルの、パスティーシュもしくはパロディと呼べる小説を、カクヨムで読めるとは思わなかった(いまや、どこを探しても、この手の小説は、めったにお目にかかれないと思う)。
 「労多くして功少なし」となることは、作者も分かっていたことだと思う。それでも書いた、作者の作家としての「何か」に、敬意を表したい。