よなかのできごと

奈那美

第1話

 ある晩いつものように2階の自室のベッドで眠っていると、普段なら絶対に起きないような時間に何の前触れもなく、ふと目が覚めた。

 左側を下に横向きに寝ている目の前には自室の壁がある。

 耳をすませても、何の音も聞こえない。

 寝返りをうってあおむきになり、頭をめぐらせてあたりを見回しても窓越しの街灯の灯りでぼんやりとしか見えない。もちろん部屋の中には、机やタンスが並んでいるだけで、なにもいない。

 とくに尿意は覚えなかったので、そのまま寝なおそうとさらに寝返りをうって壁とは逆の、窓がある側をむいた。すると自分が思っていたよりもっとベッドの端のほうに来ていたらしく、姿勢を変えた勢いで左手がベッドの端を越えて空をきりそのまま床に指がついた。

 勢いがついたままベッドから落ち床に転がりそうになった。

(やばい!このまま落ちて大きな音を立てたら下で寝ている両親を起こしてしまう!!)

 だが勢いが止まるはずもなくそのまま固い床へ…

 

 激突せず、転げ落ちる勢いのまま身体は床をすり抜けて。


 階下のちょうどベッドの下あたりになる廊下に座っていた。

「???」

 

 なにが起こったかさっぱりわからず、せっかく階下に来てるんだし目も覚めたし、なにか暇つぶしをと目の前の部屋の扉を開けた。

 その部屋は窓はあるものの街灯の灯りが差し込まないため真っ暗なまま。

 まずは灯りをつけようと、いつもどおりに壁を手探りでスイッチを探す。

 ようやくスイッチカバーの感触を指先がとらえ、スイッチに指を伸ばす。

 

 と!伸ばした手の手首あたりを毛むくじゃらな何かにつかまれた。

「え!」と反射的に手を引き戻した。

 

 次の瞬間、自室のベッドで目を開けた。

 

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よなかのできごと 奈那美 @mike7691

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