第5話 山陰号のこと ~ カクヨム書下ろし

 この「山陰号」は、山陰本線の京都と出雲市を結んでいた夜行列車で、列車種別は普通列車。にもかかわらず愛称がついていたのは、寝台車を連結しており、寝台券を発売するために必要があったからである。

 国鉄末期の1985年3月のダイヤ改正をもって、廃止された。

 この舞台の翌年春のことである。

 

 寝台車は客車3段式B寝台で、軽量客車のオハネフ12型。かつては特別急行「あさかぜ」などにも使われていた車両だが、このころには急行列車の一部に使われている程度だった。寝台幅は52センチで、のちのブルートレイン・20系客車と同じ。というより、戦前の3等寝台車と同じつくりの車両だったわけである。以前は冷房はなかったが、このころにはさすがについていた。

 普通車は、この年の2月改正までは旧型客車だった。この話は、12系客車に置き換えられて間もない頃の話である。


 実在の「私」ですが、この年の4月と8月の2回、出雲市から京都までこの列車に乗っています。この作品に書いたとおり、当時は鉄道ファン、旅好き、いろいろな人が乗っていましたね。

 待ち合わせや時間調整などで長時間停車する駅では、硬券入場券を買いに、あるいはスタンプを押しに駅舎まで走っていた人も、たくさんいました。そうでなくても、ちょっとジュースだか何だかを買いに出ていた人も。

 あの頃はまだ、水タンクがあって、飲み水は確保できていましたが、それではやっぱり、もう一つなもので。

 水タンクも、ペットボトル飲料の普及で廃止されて久しいですな。


 今回は、私より少し年上のおねえさんの日記という形で、私たちのような当時の鉄道趣味人を描いてみました。こうして書いてみると、しかし、私も、変なことをよくしていたなぁ…と、感心するやら、あきれるやら。


 この作品は、「鉄道少年マニア君がいく」の参考資料編として「分離独立」させたものです。

 ~この書き方、鉄道マニアらしいと言えば、らしいのですがね(苦笑)。

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山陰号の一夜 ~ たまきさんの日記より 与方藤士朗 @tohshiroy

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