これこそ文章

 ひたすらに文が素晴らしい。
 単語自体は誰もが知っているだろうものばかり。それが見たことのない連なりを成し、作者だけの言葉となって紡がれている。
 日頃定型文やどこかで見たことのある文しか書けていない自分にすれば、これこそ本来の「文章を書く」ということだよなと脱帽するとともに、敗北感に打ちのめされた。人物の内面の掘り下げがしっかりしている故だろうか。
 あらすじを言えば、女主人公が女友達の寝込みを襲うだけという単純なものだが、主人公の過去や友人とのこれまでのやり取りを描く順序が工夫されていて、構成も上手い。思わず「アホか」と笑ってしまうパロディ的表現も面白い。
 最後に、陰毛のくだりが特に好きでした。